第39話 自由曲「ウンベシュ・レクイエム」
砂漠地帯の夜は寒い。
星空の輝く夜空の元、私は外に飛び出していったウベティを探す。
しかし、ウベティにどうやって説明しようか。
アルスは敵だ!って直接言っても、信じないだろうし、敵対はしたくない。
うーん。
こういう時、どうすればいいんだろうか…。
教師時代の私なら…、どう考えるだろう。
いや、教師時代の私はろくな事を言わないよな。
正直、今の生活の方が楽しい。
今の私の方が、正しい答えを導き出せるはずだ。
よし、今の私に従うことにしよう。
頼むぞ…、ユウ・シャープ。
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ウベティを見つけた。
水場の水をのぞき込んでいる。
「やっと見つけましたよ…。」
「ユウ……。」
「まったく…、いきなり飛び出さないでくださいよ。」
「すまん、ついな。」
「まあいいですけど…。」
「なあユウ。少し聞いてくれるか?」
「はい。もちろん。」
「俺さ、こんな怖い見た目してるだろう?昔から周りに避けられ続けてたんだよ。」
「そんな中さ、君たちやフィーネのように、俺と普通に話してくれる奴らがいてくれて、俺の心に希望を持たせてくれたんだ。」
「……。」
「そんなアルスを助けられなかった……。俺、やっぱりダメなヒトなんだろうか……。」
『ザバァァァン!!』
私はウベティのお尻を蹴り飛ばした。
ウベティは水の中に落ちていった。
「ぷはぁ…、おいユウ!何すんだよ!!」
「あはは!!押してほしそうに見えたので…つい……ぷっ!」
「俺は今悩んでんだ!そんな時にするんじゃねえよ!!」
「だからこそですよ!もっと笑ってください!!」
「そんなこと…、できるわけ……。」
「ウベティのそんな顔を、フィーネやアルスはのぞんでいるでしょうか?」
「家に帰ってそんな調子だったら、フィーネに嫌われますよ!!」
「くっ……。」
「それに、天国にいるアルスに笑われますよ。」
「…、そうだな。あいつなら笑うだろうな。」
「ふぅ……。少し落ち着いたよ。」
「それは良かったです。」
現世の私なら、絶対にこんなことはできなかっただろう。
今の私だから、こういった思い切りの行動ができる。
結果的に、ウベティを少しでも元気づけられたはずだ。
ありがとう…、ユウ・シャープ。
その後、私達があの家に戻ると、リゾルートはもういなかった。
どこかに行く気配もなかったが…、奇術師と言われるほどだ。
そういう事もできておかしくない。
リゾルートのいなくなった家で、今夜はとりあえず眠ることにした。
いろいろ思うことはあるが、睡眠が一番だ。
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翌日、ウベティもよく眠れたようだ。
私も普通に眠れたので、体力は万全だ。
さて、荷物をまとめよう。
ようやく家に帰れるぞ。
荷物がまとまり、ウベティと2人で村から出ていこうとした時、村人が集まってきてくれた。
私は砂神龍討伐のお礼として、『砂神リード』をもらった。
このリードは、砂神龍の鱗を固めてできたクラリネット用のリードで、放った魔法に砂属性が追加されるらしい。
いわゆる、エンチャントってやつだ。
ウベティも何やら装備をもらったようだ。
そして、アルスに渡す予定だったであろう剣は、ウベティが受け取っていた。
村人達に別れを告げ、私達はソプラノ第2都市へと帰り始める。
しかし、帰り道も油断はできない。
ほとんど効き目のない魔法薬と、アルスのいない帰り道。
なんとか生きて帰ろう。
ウベティと共に。
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結論から言うと、ソプラノ第2都市に帰ることができた。
道中で何度も死にかけたが、ウベティとの協力で、なんとか乗り切ってこれた。
しかし、本来よりも3ヶ月も長くかかってしまった。
まあ、無事に帰れたことを喜ぼう。
「…フィーネ!!」
「……はっ!!おかえりウベティ!!!」
「ただいまフィーネ。心配かけたね…。」
夜空の元、フィーネと再開できたウベティを後に、私はとりあえず、依頼達成の報告へ向かった。
この都市の受付センターは、夜遅くまでやっているため、この時間帯でも報告することができる。
いつものお姉さんがいた。
「…ただいま戻りました。ユウです。」
「…、あぁユウさん!お久しぶりです!依頼は無事達成出来ましたか??」
「はいもちろんです……、ただ、仲間が一人亡くなりまして……。」
「あぁ……。それは災難でしたね……。」
「ひとまず、ユウさんは今日から、1級冒険者になりますので、今夜、証をお預かりします。」
「分かりました。よろしくお願いします。」
「はい。これからもご武運を……。」
「ありがとうございます。」
色々あったけど、ひとまず明日から晴れて1級冒険者だ。
正直、アルスの死は私にとって複雑だ。
たくさん助けてもらった仲間として、師匠の孫として、とても感謝し、尊敬している。
だが、アルディート配下から聞かされたことが、全て嘘だとは否定できない。
アルスの死を喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか。
今日は考えるのをやめて、深く眠りについた。
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翌日、久しぶりの心地よいベッドの感触と、鳥のさえずりの中、少し遅めに目が覚めた。
顔を洗い、身支度を軽く済ませた後、私はウベティの家に向かった。
フィーネの様子は良好だ。
そう、早くてあと3ヶ月以内に産まれるようだ。
身内のヒトの子供…、少し感慨深いなぁ…。
ていうか、俺おじさんになるのか。
年齢的にはお兄さんだけど…。
そのへんも踏まえて、楽しみだな。
後日、ウベティが「なんかフィーネ太った?」って聞いたらしく、1週間家に入れてもらえなかったらしい…。
まったく、何してんだ。
アルスに笑われちまえ。
次回第40話 目指し続ける。




