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元音楽教師、音楽ですべてを変える 〜第二の人生は音楽の世界?!〜  作者: 塩素
第4章 出世編

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第39話 自由曲「ウンベシュ・レクイエム」



 砂漠地帯の夜は寒い。

 星空の輝く夜空の元、私は外に飛び出していったウベティを探す。

 しかし、ウベティにどうやって説明しようか。

 アルスは敵だ!って直接言っても、信じないだろうし、敵対はしたくない。

 

 うーん。

 こういう時、どうすればいいんだろうか…。

 教師時代の私なら…、どう考えるだろう。

 

 いや、教師時代の私はろくな事を言わないよな。

 正直、今の生活の方が楽しい。

 今の私の方が、正しい答えを導き出せるはずだ。

 

 よし、今の私に従うことにしよう。

 頼むぞ…、ユウ・シャープ。

       ・

       ・

 ウベティを見つけた。

 水場の水をのぞき込んでいる。

 


「やっと見つけましたよ…。」


「ユウ……。」


「まったく…、いきなり飛び出さないでくださいよ。」


「すまん、ついな。」


「まあいいですけど…。」


「なあユウ。少し聞いてくれるか?」


「はい。もちろん。」


「俺さ、こんな怖い見た目してるだろう?昔から周りに避けられ続けてたんだよ。」

「そんな中さ、君たちやフィーネのように、俺と普通に話してくれる奴らがいてくれて、俺の心に希望を持たせてくれたんだ。」


「……。」


「そんなアルスを助けられなかった……。俺、やっぱりダメなヒトなんだろうか……。」



『ザバァァァン!!』


 私はウベティのお尻を蹴り飛ばした。

 ウベティは水の中に落ちていった。

 

 

「ぷはぁ…、おいユウ!何すんだよ!!」


「あはは!!押してほしそうに見えたので…つい……ぷっ!」


「俺は今悩んでんだ!そんな時にするんじゃねえよ!!」


「だからこそですよ!もっと笑ってください!!」


「そんなこと…、できるわけ……。」


「ウベティのそんな顔を、フィーネやアルスはのぞんでいるでしょうか?」

「家に帰ってそんな調子だったら、フィーネに嫌われますよ!!」


「くっ……。」


「それに、天国にいるアルスに笑われますよ。」


「…、そうだな。あいつなら笑うだろうな。」

「ふぅ……。少し落ち着いたよ。」


「それは良かったです。」



 現世の私なら、絶対にこんなことはできなかっただろう。

 今の私だから、こういった思い切りの行動ができる。

 結果的に、ウベティを少しでも元気づけられたはずだ。

 ありがとう…、ユウ・シャープ。


 その後、私達があの家に戻ると、リゾルートはもういなかった。

 どこかに行く気配もなかったが…、奇術師と言われるほどだ。

 そういう事もできておかしくない。

 

 リゾルートのいなくなった家で、今夜はとりあえず眠ることにした。

 いろいろ思うことはあるが、睡眠が一番だ。

       ・

       ・

 翌日、ウベティもよく眠れたようだ。

 私も普通に眠れたので、体力は万全だ。

 

 さて、荷物をまとめよう。

 ようやく家に帰れるぞ。

 

 荷物がまとまり、ウベティと2人で村から出ていこうとした時、村人が集まってきてくれた。

 私は砂神龍討伐のお礼として、『砂神リード』をもらった。

 このリードは、砂神龍の鱗を固めてできたクラリネット用のリードで、放った魔法に砂属性が追加されるらしい。

 いわゆる、エンチャントってやつだ。


 ウベティも何やら装備をもらったようだ。

 そして、アルスに渡す予定だったであろう剣は、ウベティが受け取っていた。

 

 村人達に別れを告げ、私達はソプラノ第2都市へと帰り始める。

 しかし、帰り道も油断はできない。

 ほとんど効き目のない魔法薬(ポーション)と、アルスのいない帰り道。

 なんとか生きて帰ろう。

 ウベティと共に。

       ・

       ・

 結論から言うと、ソプラノ第2都市に帰ることができた。

 道中で何度も死にかけたが、ウベティとの協力で、なんとか乗り切ってこれた。

 しかし、本来よりも3ヶ月も長くかかってしまった。

 まあ、無事に帰れたことを喜ぼう。



「…フィーネ!!」


「……はっ!!おかえりウベティ!!!」


「ただいまフィーネ。心配かけたね…。」



 夜空の元、フィーネと再開できたウベティを後に、私はとりあえず、依頼達成の報告へ向かった。

 この都市の受付センターは、夜遅くまでやっているため、この時間帯でも報告することができる。

 いつものお姉さんがいた。



「…ただいま戻りました。ユウです。」


「…、あぁユウさん!お久しぶりです!依頼は無事達成出来ましたか??」


「はいもちろんです……、ただ、仲間が一人亡くなりまして……。」


「あぁ……。それは災難でしたね……。」

「ひとまず、ユウさんは今日から、1級冒険者になりますので、今夜、証(ライセンス)をお預かりします。」


「分かりました。よろしくお願いします。」


「はい。これからもご武運を……。」


「ありがとうございます。」



 色々あったけど、ひとまず明日から晴れて1級冒険者だ。

 正直、アルスの死は私にとって複雑だ。

 たくさん助けてもらった仲間として、師匠の孫として、とても感謝し、尊敬している。

 だが、アルディート配下から聞かされたことが、全て嘘だとは否定できない。

 

 アルスの死を喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか。

 

 今日は考えるのをやめて、深く眠りについた。

       ・

       ・

 翌日、久しぶりの心地よいベッドの感触と、鳥のさえずりの中、少し遅めに目が覚めた。

 顔を洗い、身支度を軽く済ませた後、私はウベティの家に向かった。

 

 フィーネの様子は良好だ。

 そう、早くてあと3ヶ月以内に産まれるようだ。

 身内のヒトの子供…、少し感慨深いなぁ…。


 ていうか、俺おじさんになるのか。

 年齢的にはお兄さんだけど…。

 そのへんも踏まえて、楽しみだな。

       

 

 後日、ウベティが「なんかフィーネ太った?」って聞いたらしく、1週間家に入れてもらえなかったらしい…。


 まったく、何してんだ。


 アルスに笑われちまえ。


 


 


 

次回第40話 目指し続ける。

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