第3話 邪気を払う
何かおかしい。
基礎魔法は難なく使えた。が、基本魔法がいつまでたっても使えない。
もう基礎魔法が出来て2か月たった。
師匠に聞いてみるか。
その夜、師匠と食事をとっている際に聞いてみた。
「師匠、私はなぜ基本魔法が使えないのでしょうか?」
「ふむ。それは、お前の魔力に邪気をまとっている可能性があるな。」
邪気ってなんだろう。やっぱり前世のことが関係しているのかな。
「お前が魔力を込める際に、それを強く感じたのだ。もしかすると、魔法を使う際に、何かためらっていることがあるんじゃないのか?」
そうだ。魔法を使う前に体が震える。
それは、人を殺す感覚。
前世の記憶がよみがえるのだ。
仕方のないことだろう。清水君を間接的に殺してしまったのだから。
(ああ、そうだ。ああ、そうだ……。)
動悸が止まらない。呼吸が苦しくなる。
(うっ、苦しい…また死ぬのか?清水君もこんなに苦しかったのかな?)
そのとき、美しい楽器の音色が聞こえた気がした。
(天からの呼び出しかな……。)
「回復!!」
動悸が治った。呼吸も落ち着いている。
師匠の音色だった。なんて美しいんだろう。
そういえば、師匠の楽器はしっかり聞いたことなかったな。
「おい、ユウ。大丈夫か?」
「はい、すみません。助かりました。」
師匠が確信をもった様子で話した。
「それが原因だ。それを治せれば、基本魔法など容易に使えるはずだ。」
と言われても……と言いだしそうになったが、師匠の口が先に開く。
「お前の身に何があったのかは知らないし、詮索するつもりもないが、今のお前の居場所はここだ。安心しろ。ユウ。」
「はい…ありがとうございます!」
その夜は、男泣きしてしまった。
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その翌日、師匠に連れられてある場所についた。
「師匠。ここは?」
「ここは、音楽の泉。悩み事をするたびに私もよくここへ来る。」
「ここで楽器を吹くと、心が癒される。理由は分からないがな。」
そう言われ、師匠はホルン、私はクラリネットを組み立てる。
「それで、何を吹きましょうか?」
「ふむ。お前は基礎の楽譜は飽きただろう。これなんかどうだ?」
これはあの有名な作曲家ベートーヴェン様の……!あれ?違う。
作曲家はベン・トーウェンと書かれている。ただ、曲は間違いなくベートーヴェン様の交響曲第7番の楽譜だ。こっちの世界でも同じ曲なんだ。こっちの世界の作曲家はなんか名前が安っぽいし、少し疑問が残る。
まあいい、吹いてみよう。
そう意気込んで、息を入れる……。
「♪♪♪」
ああ、そういうことか。
泉が答えるようにヴァイオリンなどの音色が水のように流れてくる!!
これは、名付ければ「合奏の泉」だな。
ああ、心が浄化されていく……。音楽ってやっぱり素晴らしい。
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その日は、一日中吹いていたようだ。熱中してあまり覚えていない。
次の日、私は朝早くからいつもの練習場にきた。
今日ならいける。
そして、今一度クラリネットから音を出す。魔力
を一気に込めて!!
「炎波!!」
炎の波が一気に辺りを侵食していく……!!成功したのだ。
(安心してください。ここは荒野で草木は生えていません)
「師匠に今日の報告をしないと!!ほんとに感謝しよう!!!」
その頃、アトラは更に険しい表情になっていく……。
次回第4話、アトラ・フラットの真相
6/13(土)15:00より公開予定




