第36話 任せてください
「おや、気がついたようだねぇ。」
声がした方向にふりかえる。
そこには、身体が砂で出来ているようなヒトが立っていた。
いやヒトじゃなくて、魔族か。
「遠路はるばるありがとうねぇ。お前さん達が依頼を引き受けてくれた冒険者さんだろう?」
「そうです。こちらこそ助けていただきありがとうございました。」
「おやおや、礼儀正しいねぇ。わざわざありがとうねぇ。」
恒例の握手を交わした。
この世界ならではの挨拶だ。
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後からいろいろ聞いた話によると、この村は砂漠地帯スッスランドに位置する『メッツォスッス』と言う村らしい。
言いにくいけど、そうらしい。
そして、この村には『サンドスリー』という魔族が住んでいる。
身体が砂で出来ている理由は、環境に適応するためだけではなく、魔物に襲われた際、砂に紛れて身を隠すためらしい。
「で、砂漠の龍と言うのはどんな感じなんですか?」
「奴の本当の名は、『砂神龍』。この地の全てを司る、神様みたいなやつだね。」
「そんな奴が、何体もいると…?」
「屈することはないさ。奴らは案外バカだ。」
「それに、神と名前がつくほどの強さはないよ。」
「なるほど…。では、どこに生息しているのでしょうか?」
「奴らは砂の中に潜んでるよ…、そうだ!大事な物を渡すのを忘れてたよ。ちょっとまっててねぇ。」
家からでて、どこかへ行ってしまった。
何を渡してくれるんだろうか。
5分ほどして、あの人が帰ってきた。
「お待たせさね。この果実を持っておきなさい。」
「これは…?」
「この果実はね、奴らの大好物さ。これを怪しい箇所に撒いておけば、わんさか寄ってくる。」
「これでおびき寄せて、隙だらけなところを…、」
「ザクッ!!っといくわけさ!!」
「わかりました。いろいろありがとうございます!!」
「いいんだよ。さあ、お仲間さん達が外で待ってるよ。早く行ってあげな。」
「はい!では討伐へ向かいます!!」
「気をつけてねぇ!!」
外の水場付近で待機していた2人の元へ急いだ。
2人の重い荷物の姿はなく、いつもの格好へと戻っていた。
はりきったものの、龍のいる場所の目星はついていない。
アルスか…ウベティなら知っているだろうか…。
とりあえず村から出て、少し散策してみよう。
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村を出て少し。
ほとんど行く当てもないまま、時間が過ぎていく。
私の場合、魔法薬の効き目がほとんどないので、早めに終わらせなければならない。
村にこまめに帰っては行きを繰り返して、もう2ヶ月が過ぎた。
そんなある日、とある穴を見つけた。
「これ…。下に落ちたらやばそうですね…。」
「あぁ、かなり深そうだ。もしかすると、この奥に奴らがいるんじゃないか??」
「…一理あるね。どうする?上から魔法で穴ごと吹き飛ばす??」
「それはやめたほうがいい。もし仮に魔族が住んでたら…、まずいだろう。」
「それもそうだね。じゃあ、この穴の近くにさっきの果実を置いておこうか。」
とアルスが置こうとした瞬間、地響きと共に、多方向から砂埃が上がった。
その穴の中からは、重い唸り声がしてくる。
音で感じなくてもわかる。
命の危機が迫っていることが。
「まずい……!ユウは音空間で報告を!」
「ウベティは報告された魔物を適時撃破!」
「俺は穴の中にいる砂神龍をやる。」
「おいアルス、お前一人でやる気か?死ぬぞ。」
「大丈夫さ、平気。それに、君たちのほうこそ、任せて大丈夫かな?」
「任せてくださいアルス!私達だって、十分強いんですから!!」
「だよね!じゃあ、全てを終わらせて、また集まろう!!」
『おう!!!』
次回第37話 総力戦開始




