第35話 希望の緑地(オアシス)
スッスランドへと到着した私達。
しかし、ここからが勝負である。
アルスの開発した魔法薬の効果時間は1週間。
その間に、依頼主の街を見つけなければならない。
もし見つからなければ、終わりだ。
「よし。ユウ、ウベティ、これを…。」
「例の魔法薬ですね。」
「……。」
「…、意外とおいしいですね。」
「なら良かったよ。さあ、時間がない。いっきに探すよ!!」
「はい!」
「アルス、君は魔力探知で魔族の気配を探れ。ユウは音空間を展開して、常に魔物の接近に注意しろ。」
「俺は浮遊で上空から探る。」
『了解!!』
3人で手分けをして探す。
これ、パーティバトルみたいでなんか楽しいな。
ただ、本当に猶予はない。
国土面積の半分を占める広大な土地から、たった一つの小さな村を探さなければならない。
こんなことなら、カエスーラの時にいた国の外交官に場所を聞いておけば良かった…。
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捜索を始めてから半日。
この魔法薬は本当に効果がある。
全くお腹が減らない。
それどころか、常に腹7分目ほどの、ほどよい状態に保ってくれる。
これは、相当な発明品なのかもしれないな。
ただこの魔法薬、体温調整は出来ない。
夜が近づくにつれて、段々と気温が下がってきている。
持ってきた愛用の毛皮ローブで耐えられなければ、魔法も併用して、体温を保とう。
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目の前に広がるのは、広いビーチ。
大胸筋を堂々と見せびらかす、真っ黒に焼けたマッチョ達。
水着だから分かる、身体のラインが素晴らしいお姉さん達。
そんな風景を、トロピカルジュースを飲みながら、楽しんでいる私。
あぁ、こんな休日も幸せだなぁ…。
場面はガラリとかわり、クリスマスの夜。
私は、長年思いを寄せていた彼女に告白する。
待ち合わせ場所にしている駅前広場には、カップルの姿がたくさん。
私もこれから、こんな幸せな生活が待っているんだ!
冬の夜の風は、私の温かい頬をくすぐっていく。
雪の降る中、私は彼女の到着を待つのであった…。
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さて次は……。
あれ、何してたんだっけ。
ふと我に返った私。
こんな幸せな日が今の私には待っていない。
努力の先に、待っているものだ。
本当に何してたっけ……。
(う……ユウ!!しっかりして!!!君はまだ死んじゃいけないよ!!!)
脳裏によぎる、子供っぽい声。
自分の子供か?それとも教え子達か…。
いや違う。これは、アルスの声だ!!!
「がはぁぁ……!!!」
「ユウ!!大丈夫!?」
「…私は、一体…?」
「覚えてないのか。お前はさっき、脱水症状で倒れた。」
「あぁ…、そういえば……。」
つい1時間ほど前。
砂漠の村を探し続けていた私達。
あの魔法薬の効果は1週間継続すると言われていた。
しかし、私の体質のせいか、何かしらのせいで、私だけ、効き目が1日ほどしか続かなかったのだ。
効果が切れた瞬間、空腹と脱水に襲われ、私は砂漠のど真ん中で、泡を吹いて倒れた。
さっきのは、走馬灯のようなものだったんだな。
しかし、私はなぜ助かったのだろうか。
そう思い、ふと周りを見渡す。
私は今、ベッドに寝転がっている。
砂じゃない。ふかふかのベッドだ。
そして、窓の外には水場が見える。
草木が生い茂り、水のなかには、魚が泳いでいる。
その瞬間に、私は理解した。
「ここが、依頼主のいる村だ!!」
次回第36話 任せてください




