第32話 報告会
私がソプラノ第2都市へ帰って来て数日後。
私はアルスとウベティを呼んで、依頼(冒険)の結果を報告する会を開くことにした。
このことを伝えると、2人からもちょうど伝えたいことがあったと言う。
タイミングはばっちりだ。
朝早く、いつもの宿の酒場のいつもの席に座る。
私の前にアルスとウベティが机を挟んで、対面するように座る。
「さあ、改めてユウの無事に乾杯!!」
『かんぱーい!!』
「……ぷはぁ。それで、ユウ。依頼は達成できたのか??」
「はい、一応スピリトーソには遭遇したんですけど、逃げられました。」
「そうか…。まあ、生きて帰ってきてるだけでも凄いよな。」
「ほんとその通りだよ。特級レベルとよくやりあえたね!」
「はは、運が良かったんですよ。」
私は今回スピリトーソ討伐の依頼の延長線上という事にして旅に出ていた。
スピリトーソとの遭遇は一応事実だし、嘘はついてないからな。
ちなみにこのことをいつもの受付センターのお姉さんに言うと、未達成ということで報酬は何ももらえなかった…。
これでまた当分は貧乏生活だ……。
「でも、色々得られたものがあるんですよ。」
「まず、カエスーラ国境都市の分割問題を解決して、かなりの名声が得られました。」
「そういえば、最近その噂がこの街でも流行ってるよ。凄いねユウ、ちゃんと名声集められてるじゃん!!」
「へへ、ありがとうございます。」
「そして、魔法のほうでも新しい力を得ました。」
「どんな力なんだい??」
「それは……、」
私は2人に、音速を見切った音空間、音剣に魔力を付与した、音剣魔、そして初めて使えた音無魔法について話した。
「そっか、音無魔法まで…。ユウもそろそろ昇格依頼を受けるべきだね。」
「そうですね、今度受けに行ってみます。」
「是非そうしなよ。君の魔力はもう第1級にも匹敵するよ!」
自分ではあまり自覚していないけど、周りから見ると、この一ヶ月でちゃんと強くなれていたらしい。よかったよかった。
「そういえばユウ。俺とアルスでこの前凄い発明をしたんだ。」
「へぇ…。いったいどんな発明をしたんです??」
「それは、魔法薬さ。」
「あぁ…、一応アルスから聞いてますけど……、」
「その内容については聞いたのかい??」
「いや…、そこまでは……、」
「じゃあ僕が教えてあげるよ…。」
どんな魔法薬を作ったんだろう。
わくわくするな…。
「それはね……、魔力を増幅させる魔法薬。名付けて『増幅魔法薬』さ!!」
「はぇ…。それは凄い!!」
「そうでしょそうでしょ!!まだ未完成だけど、いつかこれを世に出してがっぽがっぽ儲けるんだ!ガッハッハッハ!!」
「いいですね。是非成功させましょう!!」
「もちろん!あと一歩だよ!!前も言ったけど、ユウとウベティ…協力よろしくね!!」
「あぁ、了解した。」
前にアルスが研究に没頭してるって聞いたけど、このためだったのか。
そういうことなら私もしっかり協力してやろう。
続いてウベティからも話があるらしい。
「皆に言ってなかった事があるんだ。」
「……俺、お父さんになるんだ。」
「どうぇぇぇぇ………!!」
「ちょっとアルス、うるさいよ…。」
「ごめんごめん。急だったからつい…。」
アルスの叫び声に酒場中の目線が集まった。
私だって叫ぶの我慢してるんだから、勘弁してくれよ…。
ていうか、だからウベティ達はあんなに大人っぽくなったように見えたんだな…。
「改めてウベティ、おめでとうございます。いつ発覚してたんですか?」
「今から1ヶ月ほど前かな。フィーネが、女の子の日が来ないってずっと言っててな。その日医者に連れて行ったら、妊娠してますねって言われたんだ。」
「なるほど。ウベティはやっぱり嬉しかったですか??」
「そりゃね。驚きもあったけど、俺は嬉しさと感謝でいっぱいになって、フィーネを1日中抱きしめてたね。」
「いい話ですね…。でもウベティ、妊婦さんにあそこまで飲ませたらダメですよ??」
「あぁ。フィーネには十分言っておくよ。」
フィーネは結構お酒好きだから、気をつけてほしいな。
多分まだ1年くらいは期間があるけど、生まれたら盛大に祝ってやろう。
アルスといい、ウベティといい、皆幸せな道に足を踏み入れられてて羨ましいな。
私もそろそろ彼女とか作ろうかな……ミライには悪いけど…。
とりあえず、今度アルスの言っていた昇格依頼を受けてみるか…。
次回第33話 飛び級




