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元音楽教師、音楽ですべてを変える 〜第二の人生は音楽の世界?!〜  作者: 塩素
第3章 スピリトーソ編〜疑念と信念〜

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第28話 新たな力



 私達は万が一のためにそれぞれがやるべきことを決め、対策を始めた。

 まずカンラとフリオーゾは、両側の町の護衛隊を集結させ、町の防御を固めた。

 両国の外交官は官邸へ戻り、国に報告へ行く。

 そして私は、自分の実力を高めるためにフリオーゾに案内してもらい、道場へとやってきた。



「…ここだ。ここがドゥラメンテ道場だ。」


「はぇ…。わざわざ忙しいのにありがとうございました。」


「礼には及ばない。しっかり励んでくれよな。」


「はいっ!!」



 道場の前につくと、中からは木刀の交わる音が響いていた。

 建物は普通の家と対して変わらない大きさだけど、木をベースに作られており、どこか懐かしい雰囲気を感じる。


 早速中に入ると、道場生達が真剣に打ち込みを行なっていた。

 その中央には、腕を組みながらそれを眺めている人がいる。

 恐らく、あのヒトがフリオーゾの息子だろう。

 そのヒトは私に気づくと、足早に駆け寄ってきた。



「お前は誰だ!何用だ!!」


「…はっ、私はユウ・シャープと申します!フリオーゾ様の紹介でやってきた所存でございます!!」


「ゆう……あ!父上が言っていたユウさんか!これは失礼した。皆のもの、集まれぃ!!」



 道場生達が稽古を一斉にやめ、集まってきて正座した。

 私も一応正座しておこう。

 そのヒトは正面にある座椅子に腰掛けて話始める。



「ようこそわが道場へ!俺は『フォコーゾ・ドゥラメンテ』。よろしくな!!」


「はい!改めて私はユウ・シャープです!よろしくお願いします!!」



 この世界で恒例となっている男同士の固い握手を交わし、道場生達からは拍手が上がった。

 そのまま、フォコーゾは私に木刀を渡してきた。



「早速だが、我が道場の優等生と戦ってもらう!」

「『ブルージー』!!前へ。」


「はっ!!ブルージー参ります!!」


「…え?いきなりですか…。」


「そうだ。まずはこの道場に入る資格があるのか見極めなければいけない。」

「で、このブルージーは第1級剣士だ。俺が一番信頼を置いている弟子だ。さあ、どんな戦いを見せてくれるのかな!!」


「ユウさん、お手合わせお願いします!!」


「…ぁ、はい!お願いします!!」


「……それでは、始め!!!」



 木刀を構えた途端、私の視界からブルージーが消えた。


(どこだ…どこいった……っ!!)


 私の目で捉えた時には、私の懐にいた。

 とっさに防御をとるが間に合わず、彼の木刀が身体に直撃し、少し体勢が崩れた。



「ぐっ…!!何したんだ…??」


「ただの疾走(スプリント)ですよ。音無魔法(ミュート)を使えるので。」


「なんと……。」


「そこまで!!!」



 私が1本取られた事によって、手合わせはものの5秒で終わってしまった。

 フォコーゾは固い顔をしている。

 幻滅させてしまったかな…。

 すると、フォコーゾは私に近づいてきた。

 叩かれるかと思った瞬間…。

 私の肩に手を強く置いてきた。



「…ガハハハハ!!!お前良いな、道場入りを認めてやる!!」


「え…いま負けましたよね、私…。」


「いやいや、僕の攻撃受けて立ってる人なんて今までいなかったですから…凄いですよユウさん!!」


「あ、あはは。ありがとうございます。」



 そうして道場入りを認められ、剣士の道を踏むことになった。

 スピリトーソはそういえば朝から見かけていないな。


◆◆◆


 道場での修行はかなりハードだった。

 毎日早朝のランニングはいいのだが、その後に休みなく筋トレを行い、打ち込みが始まる。

 昼ごはんも10分間しか時間がなく、それ以外はすべて稽古に時間を費やす日々が続いた。


 そんなある日、ブルージーが声をかけてきた。



「…ユウさん、そういえば音魔法(サウンド)の使い手なんですよね?」


「あぁ、そうですよ。どうかしましたか??」


「あの、一度魔法を交えた手合わせをしませんか?ほら、この前は僕が魔法を使ってちょっと卑怯な勝ち方で終わったでしょう?」


「まあそうですね…魔法を使った手合わせはしたかったので、是非やりましょう。」


「本当ですか?!では早速こっちへ来てください!!」



 そう言われ、外にある一対一の稽古場へやってきた。

 中の道場と違って、魔法で壊れないように結界が張られている。

 ここなら思いっきり戦えそうだ。



「それじゃ、いきますよ。ユウさんは木刀+クラリネットで戦ってくださいね!」


「もちろん!いきます!!」



 ブルージーとの手合わせが始まった。

 さあ、まずは音空間(サウンドメイン)を展開。

 ブルージーは様子を伺っている。

 

 あれ??

 この感じ…どこかで…。

 そうだ。

 前にスピリトーソと戦った時と似ている。

 その瞬間、疾走(スプリント)を駆使して詰めてきた。

 しかし、前とは明らかに違う点がある。

 相手も魔法を使ってくると言うことだ。

 しかも、音無魔法(ミュート)で。

 スピリトーソと違い、魔法を交えて予測できない動きをしてくるブルージー。

 どう戦っていこうか…。



「…空太刀(エアスラッシュ)!!」


「甘いっ…!浮遊(フライムーブ)!!からの、疾走(スプリント)!!」


「なっ……!!」



 ブルージーは空から突撃してきた。

 まずい、またやられるぞ…。

 

 私は思考を巡らせた。

 空から来る敵に対して、即座に出せる技…。

 そうだ、これが使える…!!



「甘いのはそっちだ!『空結界(エアバリア)』!!」


「……何っ!!うぁぁぁ!!!」


「…私の勝ちですね、ブルージー!」


「負けたよ…。ユウさん…今の技は一体??」


「私が作った魔法です。少し前、戦いの最中にとっさに空太刀(エアスラッシュ)で防御を取ったことがあるんです。」

「それを応用してこの技を開発したんです。」


「…凄い、ユウさんは天才ですね……。」



 そう、少し前に突然変異したアルトスパイダーとの戦いでの出来事だ。

 その後スピリトーソに言われ、実戦で使えるほどの技に仕上げたのだ。

 スピリトーソ曰く、第1級魔法に匹敵する強さだと…。

 地面に倒れたブルージーの手を取り、握手を交わした。

 フォコーゾがやってきた。



「おっ、ユウ。ブルージーから1本取ったのか?!凄いな!いずれ俺ともやってみるか!!」


「あはは…。絶対勝てませんけど…いずれお願いしますね。」


「おう、楽しみだな!!」



 そうして、道場での日々を過ごした。

 そして、たまに交代で魔物裂目(モンスタークラック)を監視する。

 スピリトーソは一応日替わりの監視に来ているらしいが、ここ数日会っていない。

 私も道場に寝泊まりしているし、奴もどこかで修行しているのかもな。

 皆もできることをやっている。

 私も出来ることをやって、最悪の展開をさけるんだ。

 頑張ろう、頑張れユウ。



 でもふと思った。

 私に剣士の修行っている???

 結局魔法に頼ってるだけじゃないのか……。


 





次回第29話 スピリトーソの謎 8/23 20:00

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