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元音楽教師、音楽ですべてを変える 〜第二の人生は音楽の世界?!〜  作者: 塩素
第2章 冒険編

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第14話 想いを込めて

 


 翌日、窓から差し込む光が私の目を覚ました。

 かなり早い時間に起きたようで、太陽がちょうど今、顔をのぞかせたくらいだ。



『今日この集落を出るんだよな…。そうだ、集落1周走りに行ってみるか。』



 この集落では色々な事があった。

 それを思い出すように私は、集落の周りを走る事にした。


 山々に囲まれた集落の朝は、小鳥たちのさえずりや、自然の美味しい空気に包まれていた。

 しかし、ランニングしていると昔の嫌なことを思い出す…。

 

 現世での私の教え子…清水君の訃報を聞いたのが早朝のランニング中だったからだ。

 

 でも私はもうくじけない。

 

 アトラ、アルス、マエストーソ、そして…ミライ。

 皆が私に期待してくれている。

 世界を救うと信じてくれている。

 

 私がこの世界から不必要とされるまで、私は進み続ける。

 そう決意したのだ。

        ・

        ・

 ランニングから帰ると、今日解放される兵士に会った。

 彼は昨日、マエストーソの家に導いてくれ、私に兵士を解放してくれと泣いていた奴だ。



「あ、ユウさん!おはようございます!!」


「あ、おはようございます…。」



 彼の顔は、昨日の兵士としての顔とは打って変わり、穏やかな優しい顔だった。



「その、なんというか…かなりの変化ですね。」


「兵士としてではなく、やっと一人の冒険者仲間として話せるので……。」

「僕は昨日言ったように、愛する妻と子供、そして病気の親父を残してきました。それから5年…今頃戻っても、親父が生きている保証はないでしょう……。」

「……でも、僕は昨日のミライ様の勇敢な姿を見て決意したんです。妻と子供の前で暗かったらいけないと。」



 その冒険者は、登ってきた朝日に照らされているせいか、尊敬すべき尊い存在だと認知させるくらい立派だった。


 サヨナラの前に、一つ聞いておこう。



「……ほんとの名を教えてください!!」



 私は走り出した彼の背中に向かって叫んだ。

 彼は私の方にふりかえる。



「『サク・リード・スケルツォ』。第1級冒険者です!!」



 そう言い残し、朝日の方へ消えていった。    

 彼の背中には、決意と勇気が混じっていた。


 その後私は部屋に戻り、再度冒険者のローブを身につけた。

 左手には、クラリネットの入ったケース。

 右手には、冒険者ライセンスの入った小さな鞄を持っている。

 

 部屋から出ると、ちょうどアルスも準備が終わったようだ。



「ふぁ……ユウ、おはよう。いよいよだね。」



 アルスは眠そうな目を必死にこすりながら話す。

 私達がアトラの意思を継ぐ、物語のステップを踏み出す準備が今日、整った。

   

 集落の入口の門へ向かうと、既に最後の兵士(冒険者)達を見送ったマエストーソとミライの姿があった。

 なんだかんだで、2人の親子は、本来あるべき姿を取り戻していた。

 とても仲良さそうで何よりだ。



「ユウ、それにアルス。お前たちには、感謝してもしきれないな。私の出来ることはしたつもりだが、もしまた困ったら、いつでもここに寄ってくれ。」


「アルスさん。それに、ゆっちゃん!私も頑張るから、2人も頑張ってね!!」



 2人それぞれが、私達に励ましの言葉を言い、握手を交わした。

 

 その一瞬……。

 とても和やかな時間が流れた。



「それじゃあ、またね。」


「マエストーソ、そして、ミライ。また会いましょう、必ず!!」



 私達の背中は、既に登っている太陽に照らされ、マエストーソとミライの前に影を作り出した。



 アトラの意思を継ぐユウとアルス。

 ユウと結ばれるために努力することを決めたミライ。

 今度こそ娘を守るため、妻との約束を守るために動き出したマエストーソ。



 それぞれが皆、想いを込めて一歩ずつ前に進んでゆく……。






次回第15話 冒険者の証(ライセンス) 7/19 21:00



※現段階で、0〜3話リメイクしてます。よろしくお願いします。

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