第16話:巨人の影と、世紀の買収劇
2003年、秋。
『NextStream』の全米進出から1年が経過していた。
日本と北米を合わせた世界総会員数は【4000万人】を突破。世界中の若者たちが毎日ネクストを開き、動画を投稿し、リアルタイムで配信を楽しむ時代が到来していた。
もはや『ネクスト・エンターテインメント』は、ただのネットベンチャーではない。世界のテクノロジー業界の頂点に君臨する巨大プラットフォームへと成長していた。
そして、その圧倒的な存在感を、世界のIT巨頭たちが放置するはずがなかった。
サンフランシスコ、ネクストUSAの役員室。
重厚な革張りのソファに腰掛けているのは、黒いタートルネックを着た男と、巨大検索エンジンの創業者たちから派遣された最高投資責任者(CIO)だった。
彼らが秋葉原から海を渡ってきた瑞樹に向ける視線は、熱狂と、そして底知れぬ警戒心に満ちていた。
「ミズキCEO。前置きは抜きにしよう」
巨大検索エンジン企業のCIOが、一枚の書類をテーブルの上に滑らせた。そこに印字されていた買取提示額の数字を見て、同席していたネクストの現地スタッフが息をのんだ。
『買収提示額:50億ドル(日本円:約6000億円)』
「我が社の持つ世界最強の検索エンジンと広告ネットワークに、君の持つ『NextStream』の動画技術とコミュニティを統合したい。50億ドルだ。19歳の君が、一瞬にして世界有数のビリオネア(超富豪)になれる条件だよ」
続いて、黒タートルネックの男が不敵に微笑んだ。
「うちの音楽プレイヤー(iPod)との連携も魅力的だと思わないか? ミズキ、君の技術と美貌は、世界を完全に変える力を持っている」
2003年当時、50億ドルという買収額はIT業界史上でも破格中の破格だった。
史実でGoogleがYouTubeを買収した金額(16億5000万ドル)の3倍以上。普通の起業家であれば、手に汗を握り、即座にサインするレベルの提案だ。
だが——。
瑞樹は、エレガントに組んだ脚を組み替え、優雅に紅茶のカップを口に運んだ。
「ALL100」のステータス。
「知力100」の脳内には、2000年代後半から2020年代に至る、未来のGAFAの興亡とプラットフォームビジネスの全歴史が鮮明に描き出されていた。
「50億ドル……素晴らしい評価です」
瑞樹は鈴を転がすような、しかし圧倒的な威厳を孕んだ声で呟いた。
「カリスマ100」と「容姿100」が醸し出す神々しいオーラに、全米を牛耳るITエリートたちが思わず背筋を伸ばす。
「ですが……お断りします」
「……何だって?」
CIOが目を丸くした。
瑞樹は立ち上がり、ガラス張りの窓からシリコンバレーの街並みを見下ろした。
「50億ドルでは、ネクストの『未来価値』の1%も買えません。検索エンジンも、音楽プレイヤーも、スマートフォンの時代が来ればすべてひとつの『画面』に集約されます。そして、その中心に立つのはネクストです」
「知力100」が放つ未来予知レベルの洞察力。
瑞樹は振り返り、挑戦的な微笑みを彼らに向けた。
「買収されるつもりはありません。むしろ……未来の市場では、私たちが皆さんをパートナーとして選ぶ側になります」
交渉は決裂した。
だが、その翌日、シリコンバレーのニュース速報が世界中を駆け巡った。
『19歳のTS美少女CEO・瑞樹、米IT巨頭からの「6000億円買収提案」を即座に蹴る!』
『「我が社の価値はこんなものではない」——世界を震撼させた東洋の絶対女王』
このニュースにより、ネクストの企業価値はさらに跳ね上がり、株式上場(IPO)へ向けたカウントダウンが始まった。
秋葉原の小さな雑居ビル、15万円の種銭から始まった挑戦は、ついにGAFAすらも見下ろす「世界最強のIT帝国」へと王手をかけたのだ。
ネクストタワーの最上階で、俺は太平洋の夕日を見つめながら静かに誓った。
「さあ……次は株式上場、そして『スマホ時代』の完全先取りだ。21世紀の歴史を、俺たちの手で完結させよう」
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【瑞樹の現在のステータス・資産状況】
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名前:瑞樹
年齢:19歳
資産:350億円(個人保有株・事業価値高騰分除く)
割り振り可能ポイント:490 P
【パラメータ】
・容姿:100(MAX)
・知力:100(MAX)
・技術:100(MAX)
・カリスマ:100(MAX)
・運:100(MAX)
【指標】
・『NextStream』世界総会員数:42,000,000人突破
・推定企業価値:1兆円オーバー(未上場)
【現在の目標】
『NextStream』のNASDAQ上場、スマートフォン(初代iPhone)登場を見据えたモバイル動画配信OSの開発。
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