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定規戦争  作者: 思喜
クラスリーグ編

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4/5

 教室の戦い③ 

直斗とレンは向かい合って座った。


二人の間には、一つの机。


その上に並ぶ二本の定規。


直斗の透明な青い定規と、レンの白い定規。


教室の空気が静まる。


さっきまで騒いでいたクラスメイトたちも、今は固唾をのんで見守っていた。


美咲がタブレットを見ながら言う。


「クラスリーグ予備戦第一試合。準備はいい?」


二人は同時に頷いた。


「それじゃあ――始め!」


瞬間。


レンの指が動いた。


カッ!


鋭い音とともに白い定規が滑る。


直斗は反射的に自分の定規を弾いた。


二本の定規がぶつかる。


パシッ!


互いに弾かれ、机の中央で止まる。


「速っ!」


雄太が叫んだ。


まだ一手目。


それなのに、まるで何試合も戦い抜いた選手同士のような緊張感だった。


直斗はレンを見る。


レンの表情は変わらない。


冷静だ。


まるで次の一手がすでに見えているようだった。


(読み合いか……)


角真との試合は力のぶつかり合いだった。


だがレンは違う。


力ではなく、位置取りと角度。


少しずつ有利な場所へ追い込んでくる。


二手。


三手。


四手。


気付けば直斗の定規は机の端へ寄せられていた。


観戦していた美月が息を呑む。


「まずい……」


あと数センチ。


そこまで追い込まれていた。


レンが定規に指を置く。


「終わりかな」


静かな声。


そして放たれる一撃。


白い定規が一直線に走る。


誰もが決まったと思った。


しかし。


直斗は机の反射を見ていた。


窓から差し込む夕日。


その光で、自分の定規のわずかな傾きを見抜いたのだ。


(ここだ!)


パチン!


直斗は定規を弾く。


青い定規が回転しながら動く。


ガツン!


レンの定規の側面を打ち抜いた。


予想外の角度だった。


レンの目がわずかに見開く。


次の瞬間。


白い定規は机の端へ滑り――


カタン。


床へ落ちた。


一瞬の静寂。


そして。


「落ちたぁぁぁ!!」


雄太の絶叫が教室に響いた。


「勝者、直斗!」


美咲が宣言する。


歓声が上がる。


だがレンは悔しそうな顔をしなかった。


落ちた定規を拾いながら、小さく笑った。


「なるほど」


直斗が首をかしげる。


「?」


「君、思ったより面白いね」


レンはそう言った。


そして定規をポケットにしまう。


「次は負けない」


その言葉には強い自信があった。


直斗も笑う。


「俺もだ」


二人は握手した。


しかしその時。


教室の後ろで誰かが言った。


「代表選抜の優勝候補が来るらしいぞ」


教室がざわつく。


「え?」


「六年生の全国大会準優勝者だって」


「うそだろ……」


直斗とレンは同時に振り返った。


まだ見ぬ最強の定規使い。


定規戦争は、クラスリーグだけでは終わらない。


もっと大きな戦いが待っていた。


直斗の胸が高鳴る。


新たな強敵との戦いが、すぐそこまで迫っていた。

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