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定規戦争  作者: 思喜
クラスリーグ編

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3/5

 教室の戦い② 

「今日は転校生佐伯レンが初登場します。」前の学校では代表戦の常連。


「直斗、こっち」


美咲がタブレットを抱えて廊下へ出る。

直斗は鞄を机に置いたまま、定規だけを握ってその後を追った。


クラスリーグの試合は、放課後の教室で行われる。

机を端に寄せ、中央にスペースを作ると、そこが戦場になるのだ。


すでに数人が集まっていた。

雄太、美月、そして、見慣れない顔が一人。


「お、直斗。今日の主役じゃん」


雄太が軽く手を挙げる。

その隣で、美月が興味深そうに直斗の定規を見つめていた。


だが直斗の視線は、もう一人の新顔に吸い寄せられていた。


短い黒髪、鋭い目つき。

制服の袖から覗く手首には、細いゴムバンドが巻かれている。

その手には、まだ使い込まれていない新品の定規。


「紹介するね」


美咲が一歩前に出る。


「この子、佐伯(さえき)レン。来月の代表選抜に向けて、今日からクラスリーグに参加するの」


「佐伯レンです。よろしく」


レンは短く挨拶すると、直斗の定規を一瞥した。

その目は、まるで“強さ”を測るような鋭さだった。


(……こいつ、ただ者じゃない)


直斗は直感した。

角真とは違うタイプの強さ、静かで、研ぎ澄まされた刃のような気配。


「レンは転校してきたばかりだけど、前の学校では代表戦の常連だったらしいよ」


美咲の言葉に、雄太が「マジかよ」と声を上げる。


レンは淡々と続けた。


「こっちのルールはまだ慣れてないけど……強い人とやれるなら、すぐ覚えるよ」


その視線が、直斗に向けられた。


挑むようでもなく、見下すわけでもなく。

ただ純粋に、戦う相手として興味があるという目。


胸が熱くなる。


角真に勝ったばかりなのに、もう次の強敵が現れるなんて――

定戦は、本当に終わりがない。


美咲がタブレットを操作し、今日の組み合わせを表示する。


「じゃあ、予備戦の初戦は……

 直斗 vs レン」


教室がざわついた。


「いきなりかよ!」

「転校生と直斗って、絶対面白いじゃん」

「角真の次はレンか……直斗、忙しいね」


直斗は深く息を吸った。


角真に勝って見えた背中。

その先に、また新しい背中が現れる。


強くなりたい。


その思いが、再び定規を握る手に力を宿す。


レンが一歩前に出た。


「じゃあ、始めようか。直斗」


その声は静かで、しかし迷いがなかった。


直斗は頷き、戦場となる教室の中央へ歩み出る。


新たな戦いが、今始まる。

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