教室の戦い①
直斗と角真の勝負が終わった教室には、まだ熱が残っていた。
机の上の定規を片づける者、興奮して友達と勝負を振り返る者。
昼休みの終わりが近づいているのに、誰もすぐには席へ戻ろうとしない。
「直斗、今日の試合…記録するね」
美咲がタブレットを持って近づいてきた。
クラスリーグの管理は、彼女が担当している。
公平で冷静な美咲が記録するからこそ、みんなが納得するのだ。
「角真に勝ったの、すごいよ。順位、変わるよ」
「ま、まだ実力は全然だよ…」
直斗は照れながら答えたが、胸の奥は熱く高鳴っていた。
角真に勝てたことは、ただの一勝ではない。
トップクラスの背中が見えたという実感だった。
美咲は画面を操作し、クラスリーグの順位表を更新する。
1位 角真
2位 直斗
3位 雄太
4位 美月
5位 その他クラスメイト
直斗の名前が、角真のすぐ下に並んだ。
「すぐ追い抜くからな」
小さく呟いた言葉は、誰にも聞こえないはずだった。
だが角真は、まるで聞こえたかのように微笑む。
「楽しみにしてるよ、直斗。僕も次の技を準備しておく」
その言葉に、直斗の心がまた熱くなる。
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
みんなが慌てて席へ戻る中、直斗は机の上の定規をそっと握りしめる。
もっと強くなりたい。
その思いは、勝利の余韻よりもずっと強かった。
そして、午後の授業が始まる直前。
美咲が小声で告げた。
「直斗、放課後…クラスリーグの次戦、組むからね。
来月は代表選抜の予備戦も始まるし、忙しくなるよ」
「代表選抜?」
「うん。学年代表戦の前段階。
クラスの上位4名が、学年リーグに進むの」
直斗は息を呑んだ。
角真との勝負は、ただの一戦じゃない。
ここから先は、学校全体の戦いへつながっていく。
放課後のチャイムが鳴る頃には、
直斗の心はもう次の戦いへ向かっていた。
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