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休憩係







 見つめ合っていると唾液の橋が陥落して、やけに冷えた物が皮膚に触れる。


『すき』


 甘い言葉を囁いてくるスカーの顔は赤い。


「はあ……」


 興奮気味のスカーがまた口を塞いでくる。


「落ち着け」


 その前に抑える。


「リュウキと、色んなこと、する……」


「早く出ないと、バレるぞ」


「バレてもいいよ」


「良くないよ」


 スカーのムニムニした頬を挟んでマッサージする。


「きもちいい」


 かわいい顔が俺の裁量でかわいい変顔に。


「バレて不穏な感じになったら戦闘に不備が出る、分かるだろ?」


「む……」


 キッとスカーの表情が固くなると。


 素直に降りて俺に立つことを催促してきた。


「よいしょ」


 立つとベルトをカチャカチャ閉めてくれる。


「助かる」


「負けたくないだけだから」


「分かってる、かわいいな」


「わかってないっ」


 俺から先に出て、状況を見る。


「……」


 サラ以外は特に見てこない。


 そして今、スカーがひょっこり出てきた。


 完璧だ。




 ソファーに座ってぼーっと天井を眺める。


 ボスっと隣にサラが座ってきて。


『……眠い』


 天井を見ているのに気づいた理由は座った時に舞う匂い。


 サラが動いた時の匂いって特長的で落ち着く。


「寝た方がいいぞ、戦いも拮抗してるしな」



 意地でも勝ちたい意思がぶつかりあった結果、チキンレースみたいなショーもない戦いに発展している。


 うるさいだけだから、俺はそっとモニターの電源を切った。


「そうします」


 ズリズリ動いたサラが俺の方に倒れる。


 そのまま太ももに頭を乗せてきた。


「……」


「寝心地良いです」


 ソファーの手を置く部分から足を投げるサラ。


「良かったな」


 手の甲でサラの髪を撫でてみる。


「はい……」


 仰向けに寝たサラの目がうつろうつろ。


 溶けるように寝始めた。


「ちょっといい?」


 金髪ちゃんが静かに近づいてくる。


「なんだ」


「次は三人で行くから、ガロードと休んでて」


「いいのか」


「活躍したくて……」


 思った以上に戦いたいみたいだ。


「休みたいからそうするよ」


 金髪ちゃんが前に出るって少ないから、楽しみだなー。


「負けたら許して」


 別に謝ることじゃないんだけどなあ。


「気にすんな」



 数十分のチキンレースの末、戦いが終わりを告げる。


 これで八チームから四チームに減った。


 今回は俺達が先に戦うことになり、転送が始まっていく。


「サラ、起きろ」


「……はい」


 体を起こした瞬間、背景が変わった。






 戦いの舞台に転送されたリュウキ達。


 次の戦いは散々なチキンレースの末に勝利したようなチーム。


「余裕だろうな」


 リュウキはポツリと呟いてその場に座った。


「何座ってんだ?」


「三人が仕留めてくれるんだってよ」


「交代制か」


 パチパチと頬を叩いたサラが目覚める。


「不本意ですが……」


「頑張るよ! えいえいおー」


 金髪ちゃんの掛け声にスカーが小さく「おー」と答える。



『それでは戦いを始めなさい』


 開幕と同時にサラは消え、敵陣に立つ。


「こいつは上位の!?」


「早く攻撃しろ!」


 やりあっている間にスカーが歩きながら空に手を向ける。


「私も前線に――」


 金髪ちゃんの言葉を「行かなくていいよ」スカーは遮る。


「へ?」


「これで終わるから」


 スカーがわざとらしく左手の人差し指を口元に近づける。


 空から姿を見せたのは氷の結晶。


 周囲に舞った粉雪が槍のように伸びて周囲に降り注がれていく。


「なんだこれは!」


 地面に刺さっていく氷の欠片が、キラキラ炸裂して周囲を凍りつかせる。



「こいつと戦ってる暇はないぞ、早くクリエイトを!」


 その隙を突いたサラの握り拳。


 風の魔法で右ストレートが加速する。


 瞬間移動から放たれるノータイムの一撃は下手な斬撃より重く。


「ぐは」



 一撃で全てを持っていった。



 一人、二人、三人。



 強大な魔法の嵐とサラの遊撃。


 簡単に人が粒子に変わってしまう。


 大して苦労もしない姿に。


『魔法って凄くね』


 リュウキはポツリと呟いた。



 そのまま魔法を避けたサラが、敵同士の間に土の壁をクリエイトする。


「なっ!」


 連携を分断したサラは片方に掴みかかって右手に炎を宿らせる。


「離せ! くそ!」


「終わりです」


 眼前で炎を暴発させたサラが反動で離れる。


「あ、あついぃ!」


 顔が焼けて悶える男は次第に動かなくなった。



 最後の目標に魔力の糸を伸ばして瞬間移動。


「く、来るなっ」


 気づいた男が水の魔法を周囲に撒いて凍らせる。


 飛んできた即席の氷結矢。


 サラは消える事で避け、風の魔法で一気に下がろうと動く男を追った。


 魔力の糸に気づいたサラが火を周囲に生み出して風をなかったことにする。


「なぜ、何故分かった!?」


 移動に失敗した男は、その場で土の壁をクリエイトして時間を稼ぐ。


 結構な高さ。


 残った炎が風の魔法で飛ぶことを許さない。



『……まかせて』



 サラが数歩下がるとスカーの爆発魔法で壁が崩れる。


「くそっ」


 サラに近づかれた男は逃げる術もなく、強烈な打撃攻撃に崩れ落ちた。









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最強美少女ギルドに入った俺の初仕事は貰った剣を100億にすること!(クリア報酬→追放)
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