革命返し
俺はサラ頑張ってるなあって思いながら、ガロードと話していた。
「俺達って要らないよな」
「ああ、そうだ」
気がついたら戦いが終わって、待機室に連行されている。
立ったままモニターで次の戦いを眺めてみる。
「決勝も三人に頼みたいな」
「それは反対」
サラの否定は早かった。
「情報共有は魔法も捻じ曲げるので、打開策として近接戦闘は絶対に必要だからです」
「ほほう……」
早口で言われて相槌を打つことしかできなかった。
「勝つとは限らないんじゃないか?」
「見てください」
サラがモニターを指す。
映像には一人の男がヨロヨロと立っている。
『ヘルに勝てると思ってんの?』
少女はそう言って歩き始める。
「なぜ効かない……!?」
火の魔法、水の魔法、土の魔法。
殺意を帯びた風すらも、少女を前に囁く事をやめてしまう。
『みんな友達だから』
宙に留まった魔法が呼応する。
「人間は、敵」
魔法は男を包み込むように集まっていく。
「うああああ!!」
炸裂すると男の断末魔が響いた。
映像は少女がぬいぐるみを抱きしめるところで終わる。
「はい、リュウキくんの予想は見事に外れました」
「……」
「ざまあみろ、どういった気分でしょう?」
腹立つ言い方だな。
「勝つのも早いな?」
「……才能次第なんです」
戦いたくねーって思っていたら転送が始まる。
『もし勝てたら、キスを頂けますか?』
サラの問いに頷いて肯定する。
『私だけ、お願いが二つ叶っちゃいますね』
ヒュッと周囲が光った。
さっきまで静かだった空間にリョウキ達が現れると歓声が響く。
面白いモノを見に来た感性。
滑稽な人間達が周囲を包む。
「俺とガロードは前に出てヘルって奴を叩こうと思う、女の子チームは他の四人をなんとかして欲しい」
『おんなのこ……』
呟いたスカーはサラを見る。
「今回は、協力します」
金髪ちゃんも見てみる。
「頑張ろうね!?」
頑張る意思を固めたスカーが「うん!」と言って自身の頬をサラみたいに、ペちペち叩いた。
『それでは決勝を始めます』
開始と同時にリュウキとガロードが並んで駆ける。
ガロードは土の剣を。
リュウキは腰の剣を。
スカーと金髪ちゃんは少し進みながら、魔法を無数に放った。
魔法の弾幕は少女の近くで消えていく。
サラは少女の背後に瞬間移動する。
現れると同時に右手を振りかぶった。
『知ってる』
ヘルが拳を避け、その腕を掴む。
「な……」
サラから発生した力を利用して、背負うように投げた。
「サラ!!」
地面に叩きつけられたサラが痛みにむせる。
「ヘルはみんなと友達だから、教えてくれる」
そのままサラに被さって腕で強く首を絞めた。
「が、ああ……!!」
リュウキが投げた剣はキンと弾けて消え。
「優しいね」
もう一本投げても消えてしまう。
近づこうとしても周辺の土が障害物となって進行させない。
「……ッ!」
何度も叩いていたサラの動きが止まる。
「……」
そのまま粒子となって消えていく。
見計らったように土が収まっていく。
「嘘だろ」
初めてサラが負ける所を見たリュウキは、ヘルに近づいて剣を振った。
『消えてね』
剣が振られる前に消えてしまう。
しかし、拳で行けばサラのような目に遭う。
ガロードの剣も同様に消えていた。
「俺がやるから、ガロードは他の四人を先に始末してくれ」
「って事は打開策があるんだろうな?」
「もちろんだ」
ガロードがその場から離れ、他のメンバーに戦いを持ち込む。
魔法が飛び交う空間でリュウキは右手で、左手を向けた。
「魔法? 無駄だよ?」
歩み寄ってくるヘル。
リュウキは魔道アームに篭った魔力を周囲に放つ。
青い糸がばらまかれ、左目を閉じたリュウキには違う世界が映る。
魔道アームから光が失われる。
「ヘルから行くよ!!」
素手で駆けるヘル。
掴むように両手を広げて、飛び込んで来る。
魔力の世界へ。
その瞬間、リュウキが消える。
「ッ!」
虚しく空気を掻いた手。
そのまま背後に現れたリュウキ。
ヘルが振り返るタイミングでもう一度姿を隠し、真上に移動する。
そのままヘルの頭を蹴ってその場から離れて。
クルリと着地する。
怯んだヘルに人差し指を向けた。
『手加減してやるから、かかってこいよ』
リュウキはめちゃくちゃ煽った。




