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パソコンの画面を見ていた田坂聖治はにやりと笑った。
地下室の林檎の木で起こった事を見ていたのだ。
途中で目が覚めたのは予想外だったが、無事取り込んだようでよかった。
「これで、これで、林檎尊の意思を受け取ることができる…!ふふ…ふふふふふ…」
地下から地鳴りが聞こえる。
「どうやら、我が尊き方がお目覚めのようですな、司祭。」
聖治は横に立っている司祭に声をかけた。
彼は不安そうな顔をしていた。
「これで、よかったのか?神官長。本当にこれで林檎尊は幸せになれるのか?」
「ええ、間違いありませんよ。代々伝わる文献にはそう書かれていました」
聖治が教会の書庫で見つけた古びた文献。そこにはこう書かれていた。
聖なる木に林檎の巫女を捧げれば、聖なる木のもとに林檎尊は現れ、意思を示すだろう。
林檎の巫女。きっと、林一檎のことだろう。あの子ほど林檎に近い少女はいない。
ある日偶然拾った生徒手帳。その名前を見て運命だと、林檎尊の導きだと思ったのだ。
林一檎。林檎を一で挟んで、林檎が一番尊いことを示している。
林檎の巫女とはこの子の事だったのだと確信した。
「しかし、一人の命を犠牲にするなど…」
「司祭。これは林檎尊のためです。あなたは『林檎尊のためなら何でもできる。』そうでしょう?」
「ああ、そうだな。私は確かにそう言った。」
司祭も納得してくれて何よりだ。
その時、右の床から何かが床から突き出てきた。
木の根だ。
司祭は慌てた様子だ。あたふたと歩き回り、手を意味もなく動かしている。
「神官長!これはなんだ!」
聖治はにっこりと笑い、今は天井も突き抜けた根の方を向いて膝をついた。
「これはきっと林檎尊のご意思!さあ、林檎尊、ご自由にご行動くださいませ!」
すると、さらに二か所根っこが突き出てきた。
聖治と司祭は建物の外へ出た。
そこで見た光景に聖治はにんまりした。
家や地面から根が突き出ていて、いくつかの根は木になりつつあった。
「ああ、林檎尊は世界を我が物になさりたいのですね…!私はその意思を尊重いたします…!」
「神官長、これは、大丈夫なのか!?」
司祭は息を乱して、聖治に縋りついた。
そんな司祭を聖治は振り払った。
司祭はバランスを崩し、後ろへ倒れた。だが地面と触れる直前、林檎の根が司祭に巻き付いた。
そして、司祭は抵抗する間もなく、近くの林檎の木の暗闇の穴に放り込まれた。
「林檎尊…ふふ」
夕日の中で暴れ、町を破壊していく林檎の木を眺めていると、目の前から根が近づいてきた。
「林檎尊、あなたと一緒になれるのですね…!」
聖治は根に巻き付かれた。
空中にあげられ、目の前には暗闇の穴。
聖治は恍惚とした表情で笑い出した。
「ふふ…ふふふ…あははは!ああ、林檎尊!世界はあなたのものです!」
そして、聖治は暗闇へと消えていった。
あと一話で完結です




