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「ん…」
意識が浮上して、自分が土の上に寝ていることに気が付いた。
薄暗くて不気味だ。
一檎は視界に入った自分の格好に思わず声を上げた。
「え………」
一檎は真っ白なドレスを着ていたのだ。
ノースリーブの襟がついたドレスにレースのアームカバー、白いタイツに透明の靴。靴はプラスチックっぽい素材だ。
「痛い…?」
手が痛んでよく見ると人差し指から血が出ていた。
ぽたりと地面に垂れた。
「え、なんで?」
一檎はこれまで感じたことのないほどの恐怖を感じた。
ゴゴゴゴゴ…と地面が鳴る音がして視線を上げると巨大な林檎の木があった。
だけど、その林檎の木のうねる幹と根は淡く黄色に光っていた。
そして、幹がゆっくりと開き、大きな穴ができた。
穴の奥は暗闇が広がっていた。
一檎は一歩下がった。絶対に近づいちゃいけない気がした。
『一檎………一檎………』
どこからか声が響いた。いや、直接脳に語りかけている感じだ。
『来なさい………来なさい………』
どうやら林檎の木から響いてるみたいだ。
一檎の足が林檎の木の方へ踏み出した。
「ダメ!」
一檎が声を上げても、引っ張られるように体が林檎の木の方へ進んでいく。
手でつかめるものがないか周りを見るが林檎の木以外なにもない。
「嫌だ…嫌!」
目から涙が零れ落ちる。
どんなに抵抗しても一檎の体はいうことを聞かない。
そして、林檎の木の目の前へ来てしまった。
その途端、一檎の足から力が抜けた。パタンと地面に座り込む。
見上げると、林檎の木の大きな穴が近づいてきていた。
こんな時に思い浮かぶのはみくの顔、そして学校だった。
「ああ、初めての文化祭だったのにな…文化祭準備やりたかったなぁ…」
一檎はそっと目を閉じた。
そして、一檎の体は暗闇に包まれた。




