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林檎の木は根を伸ばし続け、数十分後には一檎が住んでる地域にまでたどり着いた。
そのころ一檎の母、一花は夕ご飯の準備を始めていた。
外はすっかり暗くなり、月と星々が輝いていた。
「一檎、遅いわね…散歩に行くって言っていたけれど、どこまで行ってるのかしら…」
その時、ドン、と玄関から音がした。
「一檎?」
一花は怪訝な顔をしながら玄関へ行くと、木の根が玄関のドアを突き飛ばしていた。
「え、なにこれ?」
根が壁を破壊し始め、一花は慌てて裏口から外へ飛び出した。
外に出て一花は絶句した。周りの家はすべて瓦礫に変わっていた。車は鉄の塊へと姿を変え、人は一人として見当たらない。
「なにがあったの……?まるで、まるで世界の終わりみたいじゃない…」
一花はとりあえず走り出した。後ろから根が追いかけてくる。
一花は走り続け、公園までやってきた。
バッと後ろを振り返ると根がすぐそこにあり、根が一花に絡みついた。
一花は小さく悲鳴を上げ抵抗したが、根はびくともしなかった。
横へ引きずられ、林檎の木の闇の穴へ近づく。
一花は恐怖でいっぱいになった。そして、一檎はどこにいるのか、無事なのか。ただそれだけを思った。
暗闇に放り込まれる前、一花が目にしたのは月に照らされ美しく咲き誇るマリーゴールドと、一檎のヘアピンだった。
・ ・ ・
一か月後、世界のどこかの国。
崩れた町は林檎の木の住処となっていた。
比較的形を保っているある家。
フレームから外れたドア、崩れた天井。リビングであった場所は遺跡のようになっていた。
そこに風に吹かれてきた新聞が舞い降りてきた。
新聞は数日前の日付を示していて、『暴走する林檎の木!原因は何?』と見出しが大きく書かれていた。
その新聞が地面に落ちる前に林檎の根が容赦なく紙を貫いた。
必要ないのだからいいだろうとでもいうように、その紙はどこかへ放られる。
林檎の木は今や世界のすべてを壊してしまった。でも、それを止めることのできる存在も、直せる存在もいない。
もうこの星には生きている動物はいないのだから。
これで完結です。最後まで読んでくださり、ありがとうございました!




