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家からの最寄り駅で降りて、自然豊かな道を進んでいく。
住宅地を過ぎ、郵便局を過ぎ、公園を過ぎ、山に少し入ったところで家に着いた。
家の反対側は隣の家の畑が広がっている。小さいころに種まきを手伝わせてもらった記憶がある。
一檎は制服から私服に着替えると、散歩に行こうと思った。小さなカバンにスマホとハンカチとティッシュを入れて家を出た。
家の近くの公園は木がたくさんあり、大きな広場もあって、たくさんの子供たちがはしゃぎまわっていた。
一檎は花壇の前のベンチに腰かけて、そこに咲いている花を眺めた。
そこにはマリーゴールドがたくさん植えてあった。まだ開花には早いらしく、つぼみだったけど。
ぽや~っと過ごしていると、後ろから声をかけられた。
「あ、お嬢さん」
「え?」
振り返るとあの男がいた。
昨日と今日、たくさん会っている気がして違和感を感じる。
「あ、こんにちは」
一檎は立ち上がって、彼に向き直った。
「あなたも散歩にきたんですか?」
「そうなんです。そしたら見かけて」
それなら何の違和感もない。きっとすべて偶然なのだろう。
「私は田坂聖治です。林さん、林檎尊信団に興味はありませんか?」
急に田坂さんがそんなことを言い出した。
一檎は思わず後ずさってしまった。
これは怪しい宗教勧誘?
すると田坂さんは少し困ったように笑った。
「そんな引かないでくださいよ。林檎尊信団は怪しい宗教ではありません。お布施もなし、入信料もなし、ただ気持ちを大切にする宗教なんです。」
なるほど…?
「それで、我々は林檎尊を神として崇め、日々活動してるんです」
「林檎尊…?」
「林さんは林檎はお好きなんですよね?」
「まあ、はい」
「それに、あなたの名前は一を林檎で挟んでいるんです。つまり、神に選ばれし
類まれなる人間ということです。ぜひぜひわが林檎尊信団に入団していただきたいんです。最大級のおもてなしを約束いたしますので」
一気に言われて頭が混乱した。
「えっと?」
「一回、教会に来ていただけませんか?林檎尊とお会いしていただくだけでもいいので。お願いします」
田坂さんに頭を下げられた。
一檎は押しに弱く、お願いされたら断るのが苦手だ。
それに、なんだか非日常的で林檎の宗教なんて初めて聞いたから興味がわいた。
まあ、会うだけならと田坂さんの言葉に頷いてしまった。
雲行きが怪しくなってきましたね




