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第九夜:夏の終わり/あの子の抜け殻
【夏の終わり】
彼女がこの部屋を出ていった翌朝は、夏の終わりの太陽が猛威を振るっていた。
目が覚めた僕はその強い日差しに目をしかめ、ああ、昨晩は土砂降りだったのにな、と思った。
遠くで死にかけの蝉が鳴いている。
積もり積もった何かが爆発して大喧嘩になった。
泣きながら部屋を飛び出した彼女を僕は、追いかけなかった。
もう駄目だ、もう駄目だと繰り返し思った。
彼女は二度と、この部屋に来ることはないだろう。
テーブルの上には昨日の飲みかけのコーヒーが、マグカップにまだ半分ほど残っていた。
ごくり、と飲んだコーヒーは冷たくて、ひどく苦かった。
ーーー
【あの子の抜け殻】
あの子の抜け殻を見つけた。
秋の終わりの話だ。
下校途中の河川敷に落ちていた。
近くには枯れたススキが鬱蒼と茂っていた。
振ると、カラカラと音が鳴る。
夏の終わりに飲んだラムネ瓶によく似ている。
僕はそれが気に入って持ち帰ることにした。
中身のなくなったあの子はとても可愛い。
郷愁の念が込み上げてくるところがたまらない。
僕はずっと、あの子の抜け殻と暮らしている。




