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#掌編未満  作者: 深川夜
9/16

第九夜:夏の終わり/あの子の抜け殻

【夏の終わり】


彼女がこの部屋を出ていった翌朝は、夏の終わりの太陽が猛威を振るっていた。

目が覚めた僕はその強い日差しに目をしかめ、ああ、昨晩は土砂降りだったのにな、と思った。

遠くで死にかけの蝉が鳴いている。


積もり積もった何かが爆発して大喧嘩になった。

泣きながら部屋を飛び出した彼女を僕は、追いかけなかった。

もう駄目だ、もう駄目だと繰り返し思った。

彼女は二度と、この部屋に来ることはないだろう。


テーブルの上には昨日の飲みかけのコーヒーが、マグカップにまだ半分ほど残っていた。

ごくり、と飲んだコーヒーは冷たくて、ひどく苦かった。


ーーー

【あの子の抜け殻】


あの子の抜け殻を見つけた。

秋の終わりの話だ。

下校途中の河川敷に落ちていた。

近くには枯れたススキが鬱蒼と茂っていた。


振ると、カラカラと音が鳴る。

夏の終わりに飲んだラムネ瓶によく似ている。

僕はそれが気に入って持ち帰ることにした。


中身のなくなったあの子はとても可愛い。

郷愁の念が込み上げてくるところがたまらない。


僕はずっと、あの子の抜け殻と暮らしている。

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