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#掌編未満  作者: 深川夜
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第四夜:才能/月のない夜

【才能】


男は焦っていた。周囲を見渡せば才能の塊ばかりだった。

男には自身に才能がないということを嫌というほど分かっていた。

故に、周囲と肩を並べるには努力するほかないと思っていた。


周囲は疑問に思っていた。男が劣等感に喘いでいたからだ。

男には誰よりも努力を重ねることができる才能があった。

それを誰しもが認めていた。

男の不幸は、才能に憧れるあまり、自身の才能に気づかないところにあった。


ーーー

【月のない夜】


三日ぶりに君と逢う。

待ち合わせはいつもの公園で、少し早く着いた僕はひとりベンチに座って君を待っている。

墨を流したような夜空は黒く、ああ今日は月が出ていないとぼんやり考える。


立待月。居待月。寝待月。

月の異名を教えてくれたのは君だった。

今日の月齢はいくつだっただろうか。確か、明日が新月のはずだ。


なあ聞いてくれよ。昼間電話があってさ。

友達が言うんだ。君が死んだって言うんだ。事故に遭って死んだって言うんだ。

そんなはずあるわけないだろうって僕は怒鳴ったんだ。

だって今夜、君と逢う約束をしていただろう?だから、――……。


月のない夜。僕は君を待ち続ける。

君はまだ来ない。

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