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第三夜:在りし日の面影/森の魔女
【在りし日の面影】
久しぶりに友人と遊んだ帰りの、終電間近の車内。
ふと見ると座席の隅でサラリーマンがうたたねをしていた。
降りそびれますよと心の中で話しかけていると、その男に在りし日の恋人の面影を見つける。
あれ、×年前に別れたあいつじゃない?こいつ。
懐かしいな。スクールカーストの底辺みたいな私とあなただったけどまあ、なんだかあか抜けてすっかり小綺麗になりましたね。なんて。
あ、指輪してる。左手の薬指。
甘酸っぱい思い出が一瞬、頭の中に散らばって、私達そんな歳になったよねえ、と自分の左手薬指にはまった指輪をさすったのだった。
ーーー
【森の魔女】
森の魔女が村を焼いた。
生き残ったのはわたしひとりだった。
両親も友達もひとり残らず死んでしまった。
燃え盛る村を背に魔女はわたしを抱きしめて涙を流した。
深い深い天鵞絨色の髪ときらきらと光る紅玉の瞳。
それはわたしの持つ特徴とぴたりと一致する。
血の繋がりがあるのは確かだった。
魔女は生まれてすぐに奪われた我が子を取り戻そうと、そして我が子を奪った村人達に復讐しようとずっと機会を窺っていたのだ。
わたしは母の話を聞きながら、さてわたしはこのひとにいつこの日の復讐をしたものかしらと考えていた。




