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#掌編未満  作者: 深川夜
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第二夜:口癖/ヒトガタ

【口癖】


いつの間にか「大丈夫」が口癖になっていた。

その言葉は周囲を安心させたし、私自身を言いくるめることもできた。

大丈夫。大丈夫。そう言っていればきっと本当に大丈夫になる。

「本当に?」と君は聞いた。大丈夫だよと答えた私に念を押すように君は言う。


「本当に?」


私はそっと目を伏せる。大丈夫、なんかじゃない。いつだって大丈夫ではなかった。

だけど大丈夫ではないと言ってしまえば、きっとすべては壊れてしまうから。

大丈夫。大丈夫。私は噓をつき続ける。私を含む、すべてのものに。


ーーー

【ヒトガタ】


幼少期より私には蒐集癖(しゅうしゅうへき)があった。

一度これと決めると、気が済むまで集めずにはいられない。

いつしか集めること自体が目的になっていたように思う。


切手、葉書、模型、鞄、色々なものを集めた。

今集めているのは人形である。


初めは小さいもので満足していたが、今は次第に大きなものも蒐集(しゅうしゅう)するようになった。

それらに囲まれて生活していると、どうしようもなく心が満たされていくのが分かる。

どの人形にも思い入れがあるので、彼や彼女達に囲まれて暮らすのは非常に癒される。

生活スペースは狭くなる一方だが構わない。

気に入らないのは最近、アパートの住人から異臭がすると苦情が来ることだが、もうすぐ一軒家を購入するので問題は解消されるだろう。

今まで以上に多くの人形に囲まれて、永久に幸せに暮らすのだ。


嗚呼、私は幸せだ。私は幸せだ。

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