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巨大な扉の前に立つと、その圧倒的な存在感に思わず息を呑んだ。
扉は黒ずんだ金属でできており、表面には深い傷が無数に刻まれている。
誰が、何が、この扉をここまで傷つけたのか――想像したくもない。
それでも、扉の向こうに広がる“外”の気配だけは確かだった。
あなたは両手で取っ手を掴み、力を込めて押した。
重たい金属が軋み、部屋全体に鈍い音が響く。
少しずつ、少しずつ、扉が開いていく。
やがて、隙間から光が流れ込んだ。
「……外だ。」
その言葉が自然と口をついて出た。
冷たい風が頬を撫で、暗闇に閉じ込められていた時間が一気に遠ざかっていく。
一歩、外へ踏み出そうとしたその瞬間――
ふとポケットを探ると、指先が固い何かに触れた。
取り出してみると、それは古びた 一冊の手帳 だった。
表紙は擦り切れ、ところどころ焦げたように黒ずんでいる。
ページをめくると、
中には 複雑な設計図 が、乱暴に、しかし執拗に書き殴られていた。
建物の断面図のようにも見えるが、ところどころ線が歪み、
まるで“崩れる前提”で描かれているかのようだった。
その瞬間、背後の館がぐらりと揺れた。
地震のような低い唸りが響き、壁が崩れ落ちる音が続く。
まるで自然災害のように――いや、
何かを完全に隠滅するために仕組まれた崩壊 のようにも思えた。
あなたは手帳を握りしめた。
「……誰の手帳だ?」
ページの端に書かれた名前は、
かすれて読めない。
自分のものなのか、誰かのものなのか――判断できない。
どうしても、思い出せなかった。
記憶は依然として戻らないまま。
それでも、外の風は確かにあなたを包んでいた。
あなたはゆっくりと、光の中へ踏み出した。
――脱出成功。
- END -




