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『ダンジョン少佐の兵站改革 〜最弱コアの少年を閣下と呼び、軍事知識で無敵の要塞都市を築城いたします〜』  作者: たい丸
【フェーズ2:ダンジョン都市化編】

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第19回:鉄と魔力の共鳴(シンクロ)、そして防衛隊の新生

グリムロックがテオドールに合流して数日。地下2階に新設された「軍事工廠アーセナル」からは、休むことなく金属を叩く重厚な音が響いていた。

「――ぬおぉりゃあ! 閣下、魔力を切らすな! この鋼に、あんたの純粋な『拒絶の意志』を叩き込むんだ!」 火花が散る中、グリムロックが巨大な槌を振り下ろす。

「う、うん……えいっ!」 テオがコアから引き出した魔力を炉に流し込むと、熱せられた鋼が青白く発光した。それはロレッタが計算し、レティシアが軍事的な要求仕様書スペックを書き上げた、次世代の魔導兵装の基礎。

「……計算通りだ。テオ閣下の魔力は不純物が極めて少ない。グリムロックの技術で鍛え直せば、既存の魔導銀を遥かに凌駕する熱伝導率……いや、『魔力伝導率』を叩き出す」 ロレッタは眼鏡の奥で、数値化される驚異的なデータに悦びを感じていた。

一方で、訓練場ではレティシアが「第1工兵大隊」から選抜された三十名の男たちを前に、完成したばかりの装備を披露していた。

「貴公らに与えるのは、グリムロック殿が鍛え、閣下が魂を込めた魔導狙撃銃マナ・ライフル『テオドール・マークI』だ。……これは単なる武器ではない。貴公らの未熟な魔力を増幅し、一撃で鉄甲をも貫く『秩序の代行者』の証である」

「……少佐、あの野盗上がりたちが、見違えるようです」 セアラが影から囁く。 かつて略奪に明け暮れていた男たちは、今や軍隊さながらの規律ある姿勢で、支給された黒鉄の重装備を身に纏っていた。自分たちが「名もなき悪徒」ではなく、この巨大な要塞を守る「正規兵」として定義されたことが、彼らの表情に誇りを宿らせていた。

「兵站とは、食糧や物資を与えることだけではない。戦う理由と、それに足る『最高の道具』を与えること。それが士気を最大化する唯一の論理です」 レティシアの碧眼が、整列した兵士たちを射抜く。

「我がテオドール守備隊に、臆病者は不要。だが、無謀な死も許さない。……私の指揮のもと、貴公らは不敗の盾となり、侵入者には絶望を、市民には安寧を約束せよ!」

「「「サー、イエッサー!!」」」 洞窟全体を震わせるほどの咆哮。

「……報告。地上の宿場町にて、不審な『巡礼者』の一団を確認。……武器は隠していますが、手のタコが剣士のそれです。……おそらく、近隣の領主が放った偵察工作員」 セアラの冷徹な警告。

「ふむ、宿場の次は、我が軍の『練度』を試したいというわけですか。……ちょうどいい。グリムロック殿、新型の性能試験テスト・ランが必要になりました」

レティシアは冷たく微笑み、魔導ライフルのボルトを跳ね上げた。 「閣下、見ていなさい。貴公が守ったこの場所が、いかに難攻不落であるか。……暴力の専門家たちに、真の『軍事ロジスティクス』を教えて差し上げましょう」

平和な宿場町『テオドール・グランド・テラス』の裏側で、静かに、そして確実に、最強の迎撃システムが起動しようとしていた。


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