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『ダンジョン少佐の兵站改革 〜最弱コアの少年を閣下と呼び、軍事知識で無敵の要塞都市を築城いたします〜』  作者: たい丸
【フェーズ1:基盤構築編】

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第12回:敗残兵の再定義と、要塞都市への初点呼

ダンジョンの回廊に、絶望と安堵が入り混じった異様な沈黙が流れる。 レティシアの銃口の前に屈した二百人の野盗たちは、かつての凶暴さを失い、ただの「飢えた群れ」へと成り下がっていた。

「……セアラ、拘束具の配布を開始。抵抗の意思を見せる者は、即座に『排除』ではなく『無力化』しなさい。怪我人はリソースとしての価値が下がります」 「了解。……影の縛鎖、展開。暴れる余力のある者はいない……」 セアラの影が地面を這い、野盗たちの手首を冷徹に縛り上げていく。

「レティシア、この人たち……本当にボクたちの仲間になるの?」 テオが玉座の間から降りてきて、恐る恐る男たちを見つめる。 「閣下、彼らは『仲間』ではありません。我が軍の兵站を支える『動産』であり、将来の市民候補となる『教育対象』です」 レティシアはテオの前に立ち、盾となるように背筋を伸ばした。

「おい、ロレッタ殿。彼らの管理コストと、今後の労働による収益予測プロジェクションは?」 「計算済みだよ、少佐。彼らに与える『パンと規律』の費用に対し、このダンジョンの拡張工事に従事させた場合の投資回収(ROI)は、半年で200%を超える。彼らが野放しで村を襲うより、ここでスコップを握る方が、この世界の総資産価値は上がるってわけだ」 ロレッタは眼鏡を指先で上げ、冷酷なまでに合理的な数値を弾き出した。

レティシアは野盗たちに向き直り、銀髪をなびかせながら宣言した。 「貴公らに与えられるのは、三度の食事と清潔な寝床、そして……『社会的な役割』だ」 「役割……だと?」 リーダー格の男が、信じられないという表情で顔を上げる。

「左様。今日から貴公らは、この地を襲う犯罪者ではない。要塞都市テオドール建設における『第1工兵大隊』だ。……貴公らの過去の罪は、この都市の礎を築く労働によってのみ贖われる。閣下の慈悲に感謝し、その筋肉を未来のために供しなさい」

レティシアの言葉は、かつて部下100人を失った彼女が、死にゆく命を無理矢理にでも「価値あるもの」として繋ぎ止めようとする執念の裏返しでもあった。

「……わかった。ボク、この人たちに名前をあげるよ」 テオが意を決したように前に出た。 「『ゴミ』とか『野盗』とかじゃなくて、ボクを助けてくれる……えっと、『テオドール建設団』のみんな!」

その純粋な言葉に、野盗たちの中に奇妙な動揺が走った。 誰からも疎まれ、捨てられた者たちが、初めて「名前」と「役割」を与えられた瞬間。

「……閣下、甘いですね。ですが、その甘さが彼らの『帰属意識』を育むのなら、戦略的には許容範囲です」 レティシアは一瞬だけ目を細め、かつて救えなかった少年兵の幻影を振り払った。

こうして、不条理な暴力の集団は、軍事的な合理性と少年の無垢な光によって、最強の「工兵ギルド」へと再定義された。 地下深くに眠っていた廃ダンジョンが、真の「要塞都市」へと脈動を速める。

「これより、第2フェーズ『インフラ整備及び都市基盤の構築』へ移行します。……閣下、よろしいですね?」 「うん! レティシア、みんなと一緒に、最高の街を作ろう!」

二人の孤独な軍隊は、今や二百の「手」を手に入れ、歴史の表舞台へと進軍を開始した。


ここから、毎週日曜日更新です

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