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『ダンジョン少佐の兵站改革 〜最弱コアの少年を閣下と呼び、軍事知識で無敵の要塞都市を築城いたします〜』  作者: たい丸
【フェーズ1:基盤構築編】

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第11回:飢餓の包囲網と、少佐の兵站蹂躙

野盗連合の二百人がダンジョン周辺を完全包囲してから、丸一日が経過した。

「……そろそろ、毒が回る頃合いですね」 司令室の魔法モニターを見つめ、レティシアが冷徹に呟く。

地上では、野盗たちの士気が目に見えて低下していた。セアラが昨夜、闇に紛れて「最も大きな食糧馬車」だけをピンポイントで爆破したからだ。 燃え盛る貴重な干し肉と穀物を前に、絶望した男たちの間で、残された僅かな食糧を巡る諍いが始まっていた。

「くくっ、面白いぞ。少佐が指示した通り、彼らの『序列』を揺さぶる情報を流した。食糧を隠し持っているのは副官だ、という噂さ」 ロレッタが愉悦に浸りながら、情報の拡散状況を分析する。 「数学的に言えば、空腹時の人間は確率論的な判断ができなくなる。生存本能が理性を上書きし、二百人の軍勢はただの『互いに食らい合う獣の群れ』に成り下がった」

「あ、あの……! レティシア、あそこの人たち、ケンカを始めちゃったよ」 テオがモニターを指差し、怯えた声を出す。画面越しには、野盗たちが互いに剣を抜き、罵声を浴びせ合う光景が映し出されていた。

「閣下、目を逸らしてはいけません。これが『管理されない暴力』の末路です」 レティシアはテオの肩を抱き、真っ直ぐに画面を見つめさせた。 「彼らには今、圧倒的な『恐怖』と、それに代わる『秩序ある生存』の提示が必要です。……セアラ、準備は?」

「……いつでも。狙撃ポイントに展開済み。……指示を」 通信魔法から、冷え切ったセアラの声が返る。

「では、仕上げといきましょう。……閣下、ダンジョンの入り口を全開放しなさい。ただし、中には芳醇なパンの香りと、清潔な水の魔力を漂わせるのです」

「えっ!? 全開にするの? 入ってこられちゃうよ!」

「いいのです。飢えた獣は、罠と分かっていても餌に飛びつく。……そして、その餌を食べるための『ルール』を叩き込むのが、我々の仕事です」

レティシアの命令により、重厚な石の扉がゆっくりと開放される。 飢えと疑心暗鬼で極限状態に陥っていた野盗たちは、洞窟の奥から漂う「文明の匂い」に理性を失い、雪崩のようにダンジョン内部へと突き進んだ。

「侵入者数、予測通り。……第1〜第3区画のシャッター、閉鎖。……セアラ、リーダー格の右足を撃ち抜きなさい。殺してはなりません、『無力化』こそが最大の教育です」

暗闇の中、乾いた銃声が響く。野盗の頭目が悲鳴を上げ、膝を突いた瞬間、ダンジョンの通路が魔法の灯りで真昼のように照らし出された。

そこには、軍服を完璧に着崩し、魔導ライフルを構えたレティシアが、逃げ場を失った二百人の男たちを「ゴミ」を見るような視線で見下ろしていた。

「貴公らに選択肢を与える」 彼女の声は、広大な回廊に凛と響き渡る。 「ここで家畜のように屠られるか、あるいは我が主――テオ閣下の忠実な『労働力』として、明日の食事を勝ち取るかだ」

「なんだと……!? 餓鬼の奴隷になれってのか!」 一人の男が立ち上がろうとするが、その眉間をレティシアの銃口が正確に捉えた。

「拒絶は死、受諾は生存。……論理的な貴公らなら、どちらが『効率的』か理解できるはずですが?」

二百人の暴力が、一人の少佐の圧倒的な「規律」に圧殺された瞬間だった。 テオは玉座からその光景を見守りながら、レティシアが自分に与えてくれた「支配」という力の重みと、その裏にある彼女の不器用な優しさを、震える胸で受け止めていた。


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