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『ダンジョン少佐の兵站改革 〜最弱コアの少年を閣下と呼び、軍事知識で無敵の要塞都市を築城いたします〜』  作者: たい丸
【フェーズ2:ダンジョン都市化編】

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13/13

第13回:工兵大隊の初陣と、地下都市の基礎(インフラ)

野盗連合の平定から一週間。かつて死臭と絶望が漂っていた廃ダンジョンは、今や規則正しい「槌音」と軍隊さながらの「号令」が響く巨大な建設現場へと変貌を遂げていた。

レティシアが提唱した次なる段階、「迷宮を起点とした軍事経済圏の確立」。その第一歩は、捕虜となった二百人の野盗を「第1工兵大隊」として再編し、都市の骨格となるインフラを整備することである。

「――足取りが鈍いぞ! 貴公らが運んでいるのはただの石材ではない。テオ閣下の玉座を支え、貴公らの明日の食事を保証する『都市の礎』だ。ミリ単位の誤差は万死に値する。精密な構造こそが最強の装甲となり、秩序ある美しさが不落の証明となるのだ!」

回廊に響き渡るのは、レティシアの凛烈な叱咤だ。彼女は軍服を完璧に着こなし、手にした教鞭で魔法地図を指し示しながら、工兵たちに緻密な作業を要求していた。

「ひ、ひぃ……! まさか野盗を辞めて、軍隊より厳しい土木作業員にされるなんてな……」 「文句を言うな。あのアカ髪の計算官ロレッタが言ってたぜ。この角度で壁を組めば、俺たちの寝床に魔法の暖気が一番効率よく届くってな」

現場では、かつての荒くれ者たちが、汗を流しながら巨大な排水溝の敷設や、空気循環ダクトの設置に奔走している。彼らの腕には、セアラの影魔法による拘束具が填められていたが、同時に彼らの胃袋は、テオが生成し、レティシアが管理する「栄養バランスの取れた軍用食」で満たされていた。

「レティシア、みんなすごいね! どんどん通路が綺麗になっていくよ」 テオは玉座の間からモニター越しに、活気づくダンジョンの様子を眺めて目を輝かせた。

「ええ、閣下。労働とは『エネルギーの指向性』です。破壊に向かえば暴力となりますが、建設に向かえばそれは『文明』となります」 レティシアはテオの隣に立ち、ロレッタが算出した最新の進捗レポートを開いた。

「少佐、感心するよ。君の兵站指導は、このガサツな連中をわずか数日で熟練の工兵に変えた。現在の進捗率は予定を5.4%上回っている」 ロレッタは眼鏡を指で押し上げ、モニターに映る複雑なパイプラインの図面を指差した。 「地下1階の『居住区レジデンス』の基礎工事は完了。次は地下2階の『商業予定地』だ。ここには地上からの光を魔法レンズで集約し、昼夜の概念を導入する。……さあ、閣下。ここからはあなたの魔力の出番だ。僕の計算式通りに、この術式へ魔力を『投資キャスト』してほしい」

「うん、わかった! ロレッタさんの計算通りに……えいっ!」

テオがコアに手をかざすと、ダンジョン全体が微かに鳴動した。工兵たちが組み上げた石組みの隙間に、テオの純粋な魔力が「接着剤」として流れ込み、恒久的な強度を与えていく。

「……報告。地上の『宿場町』予定地にて、不審な馬車を確認。商人の旗を掲げていますが、積載重量と車軸の沈み込みから、武装した護衛を隠している可能性が高いです」 影から現れたセアラが、冷徹な警告を告げた。

「……なるほど。都市の匂い(インフラ)が整い始めたのを聞きつけて、欲深いハイエナがやってきたようですね」 レティシアの碧眼が、軍人としての鋭さを取り戻す。

「閣下。インフラの次は『防衛的通商』です。外からの客を招き入れる前に、こちらから『ルール』を叩き込む必要があります。……セアラ、案内人を務めなさい。その商人たちに、この要塞としの玄関口を見せてやりましょう」

「了解……。絶望の、その先へ導きます」

こうして、地下の建設ラッシュが進む中、要塞都市テオドールは初めて「外の世界」との接触を開始する。それは略奪でも殺戮でもない、兵站と経済による「支配」の幕開けであった。


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