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婚約破棄された悪役令嬢ですが、すべて計画通り〜ここからが本番です  作者: 一条 咲夜


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第19話:偽りの聖女の末路

王城・大広間。


重厚な扉の向こうに、多くの人々が集められていた。


貴族、神官、騎士。


そして――王太子。


その場に漂う空気は、明らかに異様だった。


「……始めろ」


低い声が、静かに響く。


次の瞬間。


扉が開かれた。


「……っ」


中へと連れてこられたのは、エミリアだった。


手には拘束具。


その姿は、かつての“聖女”とはかけ離れている。


ざわめきが、一気に広がった。


「……あれが、聖女?」


「嘘だろ……」


疑念と動揺。


そのすべてが、エミリアに突き刺さる。


「……違う」


小さく、呟く。


「違う……私は……」


だが、その声は届かない。


「静まれ」


王太子の声が、場を制した。


すべての視線が、彼へと向く。


「本日、この場に集まってもらったのは――」


一拍、間を置く。


「重大な事実を、明らかにするためだ」


緊張が走る。


「この者、エミリアは」


冷たい視線が向けられる。


「聖女の力を持つとされていた」


「だが――」


その声が、わずかに低くなる。


「その力は、不完全であり」


「さらには、禁じられた手段に手を染めた疑いがある」


ざわめきが爆発する。


「き、禁術だと……!?」


「まさか……!」


「違う!!」


エミリアが、叫んだ。


「私はそんなつもりじゃ……!」


「では、あの現場は何だ」


神官の厳しい声。


「黒く歪んだ力。あれをどう説明する」


「それは……」


言葉に詰まる。


説明できない。


(違うのに……)


(ただ、元に戻したかっただけなのに……!)


「……見苦しいな」


ぽつりと、王太子が呟いた。


その言葉に、エミリアの心が凍りつく。


「かつては期待していた」


「だが、結果はこれだ」


完全な失望。


その視線は、もう彼女を見ていない。


「……違う」


力なく、首を振る。


「私は……選ばれて……」


「――選ばれてなどいない」


静かな声が、割り込んだ。


一斉に視線が向く。


そこにいたのは――


リリアーナ。


「……っ」


エミリアの表情が、歪む。


「あなたは」


リリアーナは、ゆっくりと歩み出る。


「“そう見えていただけ”の存在です」


その言葉が、静かに落ちる。


「違う……!」


「では、証明できますか?」


淡々とした問い。


「自分の力が、本物だと」


「それは……」


何も、言えない。


「あなたの力は、不完全な再現に過ぎない」


「条件が揃っていたから、発動していただけ」


「そして、それが崩れた今――」


一歩、近づく。


「何もできない」


完全な否定。


「……やめて」


声が、震える。


「やめてよ……!」


「現実です」


冷たく、言い放つ。


逃げ場はない。


「……っ」


涙が、零れる。


だが。


もう、誰も同情しない。


「以上だ」


王太子の声が響く。


「エミリアの聖女としての資格は、ここに剥奪する」


その一言で、すべてが終わった。


「また、禁術使用の疑いにより――」


冷たい宣告。


「今後は、厳重な管理下に置く」


「……そんな」


崩れ落ちる。


何もかもが、終わった。


完全に。



静まり返った大広間。


誰もが、その結末を見届けていた。


そして。


理解する。


“本物”が、誰なのかを。


自然と、視線が集まる。


リリアーナへ。


その姿は、静かで、揺るがない。


「……見事だ」


誰かが、呟いた。


それは、称賛だった。


完全な逆転。


すべてが、覆った瞬間。


リリアーナは、静かに目を閉じる。


(これで、一つ)


大きな障害は、消えた。


だが――


(まだ終わりじゃない)


ゆっくりと目を開く。


その瞳には、次を見据える光があった。


「さて」


小さく、呟く。


「次は、どこまで崩れるかしら」


その言葉の意味を知る者は、まだいない。


だが。


確実に。


すべては、終わりへと向かっている。

ここまで読んでくださってありがとうございます!

続きが気になる方は、ブックマークや評価で応援していただけると励みになります✨

次回、ついに王太子にも“代償”が訪れます。

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