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婚約破棄された悪役令嬢ですが、すべて計画通り〜ここからが本番です  作者: 一条 咲夜


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第18話:禁じられた手段

王城の一室。


重く閉ざされた空間の中で、エミリアはひとり立ち尽くしていた。


「……ありえない」


何度目か分からない否定が、口から零れる。


聖女としての活動停止。


その言葉が、頭から離れない。


(そんなの……絶対におかしい)


自分が選ばれた存在であることに、疑いはなかった。


これまでだって。


“できていた”。


誰にでもできることじゃない。


特別な力。


特別な役割。


それが――


「……なんで、こんなことに」


ぎり、と歯を食いしばる。


(あの女……)


リリアーナの顔が浮かぶ。


あの冷静な態度。


すべてを見通しているような視線。


(絶対に、あの人が何かしてる)


確信に近い疑念。


だが、証拠はない。


そして何より――


(このままじゃ、終わる)


それだけは、はっきりしていた。


「……だったら」


ゆっくりと、顔を上げる。


その瞳には、迷いよりも強い感情が宿っていた。


「戻せばいい」


元通りに。


すべてを。


(方法なら……ある)


頭の奥に、引っかかっていた記憶。


曖昧で、ぼやけている。


それでも。


確かに“知っている”。


「……そうだ」


小さく呟く。


「補助装置……」


その言葉が、口をついて出た瞬間。


胸が、大きく高鳴った。


(あった……!)


完全には思い出せない。


でも。


それが“必要なもの”だという確信だけはあった。


「……なら」


部屋の奥へと歩み寄る。


誰にも見られていない。


監視はあるが、完全ではない。


(今なら……)


引き出しを開ける。


中にある、小さな装飾品。


さきほど見つけたそれ。


「これ……」


手に取る。


ひんやりとした感触。


「……使えるはず」


根拠はない。


でも。


(使えないわけがない)


強く、そう思い込む。


「……やるしかない」


その判断は、明らかに危うかった。


だが――


もう、止まれない。



その夜。


王城の一角。


人気のない廊下を、エミリアは静かに進んでいた。


足音を忍ばせながら、目的の場所へと向かう。


(ここ……)


たどり着いたのは、小さな祈祷室。


本来、聖女が使うには簡素すぎる場所。


だが、今はそれでいい。


「……ここなら」


誰にも邪魔されない。


扉を閉める。


小さな灯りだけが、室内を照らしていた。


「……大丈夫」


自分に言い聞かせる。


(やればできる)


何度も繰り返してきたこと。


ただ、それを再現するだけ。


「……奇跡よ」


装飾品を握りしめ、目を閉じる。


意識を集中させる。


(来て……!)


強く念じる。


(お願い……!)


その瞬間。


――光が、灯った。


「……!」


思わず、目を見開く。


淡い光。


確かに、それは現れていた。


「やっぱり……!」


成功だ。


そう確信した。


だが――


次の瞬間。


光の色が、変わった。


「……え?」


淡い光が、ゆっくりと濁っていく。


白から、灰色へ。


そして――


「な、に……これ……」


黒。


嫌な気配が、空間に満ちる。


「ちょ、ちょっと待って……!」


慌てて止めようとする。


だが。


(止まらない……!)


光は暴走し、周囲の空気を歪める。


壁にひびが入り、床が軋む。


「やめて……!」


恐怖が、全身を支配する。


その時。


――バンッ!


扉が勢いよく開かれた。


「何をしている!」


神官たちが、なだれ込んでくる。


「……っ!」


エミリアは、言葉を失った。


その手には、黒く染まった光。


誰が見ても、異常だった。


「……それは」


神官のひとりが、顔を歪める。


「まさか……禁術……?」


その一言で、空気が凍りつく。


「ち、違う……!」


否定しようとする。


だが。


その光が、すべてを否定していた。


「……拘束しろ」


低い命令。


衛兵が動く。


「待って……!」


後ずさる。


だが、逃げ場はない。


「私は……私はただ……!」


言葉が、続かない。


そのまま――


取り押さえられた。



遠くから、その様子を見ていた影があった。


リリアーナだ。


「……やってくれたわね」


小さく呟く。


その表情に、驚きはない。


(予想より、少し早かったけれど)


誤差の範囲。


むしろ――


「十分すぎる成果ね」


聖女の暴走。


しかも、禁術の疑い。


これで。


完全に、終わりが見えた。


「さて」


静かに踵を返す。


「次は、どう動くかしら」


その瞳には、余裕があった。


すべては、掌の上。


そして――


物語は、終盤へと近づいていく。

ここまで読んでくださってありがとうございます!


続きが気になる方は、ブックマークや評価で応援していただけると励みになります✨


次回、ついに決定的な断罪が下されます。

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