不器用な男
「お前っていつもここにいるよな」
何気なく言い放った一言に驚いたようにビクッと反応をした、ミディアムボブカットされたピンク色に近い赤髪で丸眼鏡をかけた女の子はゆっくりとこっちを向く
「…う、うん」
「あー図書委員ってやつ?」
カウンターでなくテーブルにいつもいるので、違うことをわかっていながら言い放つ
「ごめん、違う…」
「なんで一々謝るんだよ…」
「本当にごめん…」
癖なんだろうか、話す度に謝られてばかりいる
…そんなに俺と話すのが嫌なのだろうか?
「あ、また謝ってしまった…すみません」
それも謝ったうちに入ってるからな?
毎度こんな調子だから話し掛けても中々話が進まないんよな…
仲良くなりてぇのに
「あの…なんで私にいつも話し掛けてくるの…?」
「そりゃあ———」
———直接言うのはハズい
「………」
言葉が見つからず黙りこくってしまった
「…私を、からかって遊んでるのかな」
「へ…?」
「あ、ごめんなさい生意気言って…!」
…なんか変な誤解されてるな
「別にからかってねぇよ」
「………」
信用されてないな…
「あの、今日はもう帰るね」
と言ってそそくさに図書室から出ていった
はあぁぁ…今日も満足に話せなかったなぁ
ほんと苦手だわ
我ながら弱気になる
過酷な中で育ってきた元ヤクザの頭領の長男こと白石 虎雄〈しらいし とらお〉は意中の相手、笹木 朝奈〈ささき あさな〉に恋をしていた———
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