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ココアのような恋物語  作者: 夏輝 陽
Sweet Cocoa Love~後編
26/29

懸念


 色々あってシャワーを終えたふたりはロビーフロアにて赤西さんと合流した


 「すんごいツヤツヤしてるねふたり共…」


 十三時半頃、俺たちは旅館を出ていつものキャンプ場へ向かった



 歩いてほんの二十分


 前に唯希さんがとっておきの場所があると連れてこられた場所に赤西さんも加わり再びやってきた


 半径二十メートル程の草原に奥に高さ二十メートル程の崖があり景観がいい


 僕と赤西さんは崖の上に立ち景色を眺めていた


 「あの山で見た景色よりも劣ってるかも知れないけど、ここも綺麗ですよね」


 「そうだねぇ…でも、私もここ好きだなー」


 唯希さんはというと、後ろの方でレジャーシートを広げテーブルやらコンロなど次々と置いていく


 「…あ、私はここで満喫するのでお構いなく」


 若干拗ねてる感じがする


 …ここに来るまでに赤西さんと話してばかりだったからかな


 唯希さんの元へ行き軽く頭を撫でた


 「…は、恥ずかしいですよ」


 と言いつつ満更でもない顔


 赤西さんも近付いてきた


 「別に私はかなたくんの事オトコとして思ってないから大丈夫よ、ゆきちゃん」


 いや、別にいいんだけどそう言われると少し傷付く


 別にいいんだけども


 「本当ですか?」


 「うん、友達としては好きだけどさ…ゆきちゃんの事も同じくらい好き…!」


 そう言って突然唯希さんに抱きつく赤西さん


 「な、なんですか突然!」


 「しゅんっとしてるゆきちゃんがあまりにも可愛くてね」


 確かに可愛い


 パッと離れた唯希さんは目がギョっとしていた


 「ん〜、もう離れちゃうなんて残念。かなたくんが羨ましいわ」


 横目でチラっと俺を見てきた


 「からかわないでくださいよ…」


 「別にからかってないよ。こんな可愛い子を独り占めしちゃうなんて嫉妬しちゃうな〜」


 「か、可愛い子…」


 唯希さんは顔を赤らめて俯いてしまった…


 「…そういえばさ」


 赤西さんは急に真剣な顔をして俺らを見る


 「君たち…かなたくんが家に帰って離ればなれになっちゃうんだよね?」


 「は、はい…離れたくない気持ちもありますから、色々考えてはいるんですが…」


 「それなら私にいい考えがあるんだけど」


 「え…?」


 「実はさ、君たちがここへ来る時に利用した駅の近くに学校があるんだけどさ…そこに通ってみない?」


 「え、ええっ!?」


 いきなりの提案でびっくりしてしまった


 「つまり、旅館から学校に通えって事ですか?」


 「それなら問題ないでしょ?」


 「ありますよ…通うにも距離けっこうありますし」


 「私、本当はバイトやめて別な料理店で働く予定だったけど…改めてパートとして旅館で働こうかなと思ってね」


 「え、ええっ!?」


 さっきと同じ反応をしてしまった


 「大丈夫、おばちゃんにも相談してオッケー貰ったから!…私が運転して学校まで送っていけるよ?」


 「そんな、わざわざ悪いですよ」


 「住み込みだから問題ない!ついでに買い物だって済ませられるしね」


 そう言われて考え込む…


 すると唯希さんがチラっとこちらを見たのち赤西さんの方を見る


 「き、急な話ではありますけど…かなたさんと一緒なら通いたいな…って思います」


 「…学年違うと思うけどね」


 「かなたさん、実は下の学年にもう一度通う事ができるんですよ?」


 「そうなんだ…」


 「かなたさんは去年、学校に通われてなかったみたいですし」


 「…おばちゃんから聞いたのかな」


 「す、すみません」


 そう、去年はあの事件があったせいで俺は塞ぎ込んで家に引きこもってしまっていた


 すぐさま親戚の人が引き取って貰ったけど、俺の身の回りで嫌な事件が多発しているため別々に暮らしていた


 その親戚はお金が目当てだったのだろう、毎月こっちの家に訪ねてきてはお金を渡していた


 結局お金目当てかと呆れるけど、この人はまだマシな方なのかな


 もっと悪い人なら財産を強引に奪ったりするだろうし…とか思わないとやってられない


 というかおばちゃんこっちの事情に詳しすぎないか?…そういえば元カシラなんだっけ


 「元の家に居るよりもこっちのが安全そうだし、いいんじゃないかな?」


 「…でも、もし巻き込まれたら———」


 「支配人さんも言ってたでしょ?もうみんな刑務所の中だって…」


 「………」


 「半グレの集まりでできたトコみたいだし、組って呼べるようなトコでもないらしいから…遠く離れたここなら、残党がいても多分大丈夫だよ」


 そう言って俺の頭を撫でる


 「大丈夫」


 「そう、ですか…」


 「荷物をこっちに運んで、こっちで暮らそう?」


 「赤西さんの家で…?」


 「かなたさん」


 「あぁ、すみません…おばちゃんのとこでって事ですよね」


 「あははっ!別に私の家でもいいんだけどね?」


 「かなたさん」


 「いやいや遠慮しておきますよ」


 唯希さんの圧がスゴい




 ———シートの上で駄弁ったりテーブルゲームしたりして十七時過ぎ頃、お酒を飲み始めた赤西さんは出来上がっていた


 「いやぁお外でこんなに飲むのは久しぶりだぁ~」


 「流石に飲み過ぎですよ」


 「らって今日が最後の日なんれひょ?」


 「旅館で働くって言ってたじゃないですか。今日はもう完全にただキャンプする日ですよ」


 「そうらっけ~?」


 「呂律が回ってませんよ…あ、もう飲むの禁止です」


 まだ開けてない缶と取ろうとした赤西さんにストップをかけた


 「お水です」


 「ありがと~ゆきちゃん」


 赤西さんはぐびぐびと一気飲みした


 「ごめんね~お酒飲むころ自体久しぶりらったから~…」


 「そうですか」


 「………」


 「え、寝ちゃいました?」


 座ったまま目を閉じて耳を澄ますと寝息が聞こえる…寝落ちしていた


 「…起きるまでそっとしておこうか」


 「そうですね」


 日が暮れかかる頃、夕日に照らされた唯希さんを見て魅入ってしまった


 唯希さんはそれに気付いて俺の顔を見ると同じように止まってしまう


 「………」


 「………」


 お互い無言で見つめ合って十分が経過した


 唯希さんはハッと気が付いて


 「な、なんでこんなに見つめ合っていたんでしょうね」


 「唯希さんが綺麗だったから…」


 「…ばか」


 唯希さんは俺との距離を更に縮めて、キスされた


 「ん……唯希さんって本当に大胆だよね」


 「かなたさんのせいだよ……ん、ちゅ」


 もう一度キス


 更にもう一度…今度は長く…


 「おー相変わらずお熱いねぇふたりとも」


 「「———!?」」


 「…キスしたまま固まるって、私に見せ付けてるのかな?」


 「「ん…違いますよ!」」


 「息ピッタリだねぇ」


 暫くからかわれ、それから帰り支度をして帰路に着く


 お酒のせいで足元がふらふらな赤西さんは俺の肩を借りてなんとか歩く


 ———が、唯希さんはその姿を見て俺の目をじーっと四白眼で睨みつけられ圧が掛かられつつ旅館へ戻った




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