夏向の過去
「あなた達イチャイチャしすぎね」
山から旅館へ戻ってきた俺たち三人は、戻って早々に説教されていた
「…ですよねー」
薄々わかってはいたんだ。俺たちはハメを外しすぎだと
ところ構わずイチャイチャして、挙句にえっちな事もしてしまったり…ある程度は我慢しないと周りに迷惑がかかる
「…すみません、以後気をつけます」
「ほんとびっくりだよ。ゆきちゃんがあんなに積極的だったなんて…」
唯希さんは顔を真っ赤にして俯いてしまった
「そういうのはふたりだけの時にしてね」
「「はい…」」
「さてと、ちゃんと反省の色が見えたから今後は大丈夫かな」
そう言って食事処へ向かう赤西さん
「さ、一緒に食べよ!お腹ペコペコなんだぁ」
俺と唯希さんは顔を見合わせて、赤西さんの後を追った
明日には赤西さんはここに来なくなるのか…何を話そう、こういう時
「…私、時々遊びに来るけどかなたくん達とは会えないかな?」
「俺たちもいつまでもここに居る訳では無いですしね」
「………」
来週には自宅に戻る予定だけど、正直戻りたくない…唯希さんと離れたくない
「そういえば、かなたくんとゆきちゃんって家は近いの?」
「いいえ、そこそこ距離はありますよ俺たち」
「はぁ…」
珍しく唯希さんがため息を吐いた
「まぁ、俺はお金だけはある程度あるので引越ししてもいいんですけどね」
ただそうなると、こっちの事情に唯希さんが巻き込まれそうで怖い
組織の人が十数人も逮捕されて今は刑務所に全員収容されてるはず…だけど、組織は壊滅されてるかわからないし今後も狙ってくるかもわからない———
「———もう何も心配する事ないよ」
肩に手を置かれ、置いた人物の顔を見る
「おばちゃん…?どういうこと?」
「そのままの意味です。夏向の脅威に思っているあの組はさっき無くなったのです」
「え、脅威…?組って…」
唯希さんが首を少し傾けて疑問を浮かべる
「お、おばちゃんは一体…」
「アタシはあの世界から足を洗った身でね。でも、アイツらにゃ貸しがあってねぇ…話し合いで解決しようとしたけど、まぁゴタゴタになってつい潰しちまったって訳です」
落ちぶれたもんだよアイツらも…おばちゃんは呟いた
「かなたさん…もしかして、かなたさんのお姉さんが殺されたのって…」
「…うん、その関係の人だね」
「確か夏向の父の駆け落ちから始まったんだったかねぇ」
「でも悪いのは母の方です。何せ金をこっそり盗んで駆け落ちしたんですから」
「…そうさね、夏向の母…元組長の娘の計画的な犯行なんだから」
そう。母は父を利用し金を得ていた
「父の莫大な財産を知ってしまった母は父を殺した後、組織の金を盗んだことがバレて母は組織の人に殺された」
「…アイツらから聞いた話だと、夏向の父の財産を知って組織は利子だの何だのと適当な理由をつけては、財産が渡されたであろう姉を追っかけてたらしいねぇ」
「でも、おばさんは本当に優しかった…殺されてしまった後に気づいた事だけど、財産の存在を知りながらも発見した手紙と銀行口座の通帳とカードが一緒に置かれてて、それは父から俺に託されたモノだと手紙にそう書かれていたんだ」
今思えば、いずれ殺されるとわかっていながら書いたのかな…
「…もう大丈夫。殺させやしないさね」
「ありがとうございます。おばちゃん」
壊滅させたと言っていたおばちゃんは相当力を持ってるんだろうな…
「———薄々気付いてるだろうと思うけどね」
意味深そうにニィっと不敵に笑ったおばちゃん
「アタシが今の名ばかりの預け親に夏向をこの旅館に来るようにお願いしたのさ」




