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ココアのような恋物語  作者: 夏輝 陽
Sweet Cocoa Love
14/29

コーヒーをカフェオレにしてみた


 宿泊してから三日目の十三時頃


 一人で食事処にてお昼を食べ終え自室に戻る


 スマホを取り出し、ラインで唯希さんに連絡を取る


 [キャンプいつ行こっか]


 ?を浮かばせた猫耳少年のスタンプも送る


 すると、直ぐに通知音が鳴り


 [お昼食べました?]


 [うん]


 [では、これから私もお昼を食べてきますので終わったらまた連絡します]


 [わかった]


 そしてウインクし、サムズアップしてる猫耳少年のスタンプを送る


 …待ってる間昨日のゲームの続きをしよう



 やってきたのは自称ゲームコーナー


 ここにはパソコンとPS4が置いてある


 昨日の夕方から夜までずっとパソコンでゲームをしていた


 今日もパソコンを立ち上げ、ゲームを起動する


 どこまで進めてたっけ…


 横二十マス程度の一階建ての家から再開する


 二階を作る前に強い武器を手に入れようと思い、近くの洞穴へと向かった


 カンカンカンカン、カンカンカンカン


 横に掘っていくとまさかの砂漠のバイオーム


 飛んでるジャイアント級の虫が襲ってきたが、咄嗟に石の壁を作り道を塞ぐ


 作った壁に入って来れないくらいの穴を空け攻撃する


 流石にパラソルでは時間がかかる…


 それでも、一方的に攻撃が通るためこのまま攻撃し続ける———


 「…何してるんですか?」


 突然の来訪者


 声の主を横目でチラリと見る


 ギョロっと四白眼が目線を合わせてきた


 やがてギョロりとゲーム画面に目線がいって


 「…テラリアじゃないですか」


 「唯希さんも知ってるんだ」


 「小学四年生の頃よくやってました」


 そんな前からあるんだ、初耳だった


 「積みゲーだったのを消化して———」


 自分もゲーム画面に視線を移した瞬間


 ゲームオーバーの文字


 「後ろからアントリオン来てましたよ」


 いつの間にか後ろに敵が湧いていたようだ



 「———さてと、キャンプしますかぁ」


 パソコンの電源を落とし、席を立ち上がる


 「…帰ったら一緒にゲームしませんか?」


 魅力的な提案だ、二つ返事でおっけーした




 キャンプ場へ向かう道中


 元々口数が少ない二人(特に唯希さん)は何も喋らないまま二十分が過ぎ、やがてキャンプ場についた


 「ハンモック作りますね」


 「わかった」


 と言ってもこっちはキャンプ初心者なので見学することにした


 様々なハンモックの紐を駆使して木に括り付ける


 ずっと目で追ってるのにどうやって括り付けたか、まるでわからなかった


 あっという間に木と木の間にハンモックが出来上がっていた


 その後水場に行き手洗いを終えた唯希さんが帰ってきて、持ってきてた大きなリュックサックの中から小さいテーブルとバーナーとケトルを取り出した


 「…水汲んでこようか?」


 上目遣いでギョロりと四白眼がこっちを見る


 「…お願いします」



 ———水を入れたケトルを唯希さんに渡す


 「ありがとうございます、かなたさん」


 唯希さんの事が好きだと認識してから、お礼言われただけでも何だか照れてしまう…


 「いえいえ…」


 「コーヒー作るのですけど、良かったら飲みませんか?」


 「あ、頂けるのならありがたい」


 唯希さんは頷いて、バーナーの上にケトルを置き火をつける


 その後リュックサックからカップ、ドリッパー、フィルター、コーヒーミルと多分コーヒー豆が入った袋を取り出す


 唯希さんの目の前に設置された小さなテーブルにカップを置き、その上にドリッパー、更に上にフィルターをセットする


 コーヒーミルをその横に置き

そして手にした袋を開け、コーヒーの香りが辺りに漂い始める


 いい香りだ


 コーヒーミルの蓋を開け、上に開けた袋を少しずつ傾けて中身のコーヒー豆を適量まで落としていく


 蓋を閉じ、脇についてるレバーを唯希さんはゆっくりと回していく


 やがて全ての豆を挽いたのか、ミルの下部に引き出しになっているところを開けてドリッパーの上に半分落とす


 後はお湯を入れるだけかな


 しかしまだお湯はできていない


 「手際いいね、ハンモックもだけど」


 「…全部お父さんから教わって覚えました」


 「そういえば、お父さんの影響でキャンプ始めたんだっけ」


 「はい、とても優しくていいお父さんですよ

最近は仕事が忙しくて日本中飛び回って中々会えないですけどね」


 少し寂しそうな顔をしてから、こっちへ向いた


 「特に、離婚してから忙しくなりました」


 「離婚って…じゃあ今は父子家庭?」


 「そうなんです…」


 「……」


 「お母さんはお父さんとは真逆でとても怒りやすく、家事もろくにしないで男遊びもよくしていたらしいです」


 何とも嫌な母親だな…なんて思った


 「そんな人と離婚して当然です、何も悲しくもありませんでした…けど」


 「けど?」


 「やっぱり普通の人と結婚して欲しかったなって思います…なんて、そんな悩みは贅沢ですね」


 「当たり前の考えだと思うけど…どうして贅沢?」


 「だって、かなたさんの方が余程…あんまりじゃないですか」


 「それはそうだけど…」


 だけど


 「今はそんなのどうでもいいって思えるくらい、今が楽しいよ」


 「今が楽しい…キャンプそれほど楽しんでるのですか?」


 「それも含めだよ…旅館来てから毎日が充実した日々を過ごしてるなって」


 まだ三日目だけど、とても濃い日々を過ごせてる気がする


 「…私、昨日誰かとお付き合いしてたって話したじゃないですか」


 「うん」


 「男の指を思い切り噛んだ次の日、学校へ行ったらお付き合いしてた男の子とか話しかけてくれてた女の子とか、付き合う以前の前に戻ったんです」


 「付き合いが解消してたのかな」


 「はい、女子たちが話し掛けてくれなくなった寂しさはありますけど、男とは別れて良かったです」


 その男と別れて良かったと言った唯希さんに対し、安堵した


 「毎日…その、男の家で変な目で身体中を舐め回すように見られて気持ち悪かったから…」


 「クソみたいな男だね」


 つい口が悪いとこ出てしまい、えっ、と驚いたようにギョロっと四白眼がこちらを見上げた


 「かなたさんも、そんな風に思います?」


 「えっ、あ、うん…」


 「私も同じです」


 唯希さんはそう言って微笑し、困り顔を作っていた


 「そんなクソ男と解消したその放課後、忘れ物を取りに教室へ戻ったら、そのクソ男と会話してくれてた女子たちが会話していたんです」


 「………」


 クソ男とか唯希さんの口から出るとは思わなかった


 「廊下でこっそり聞いていたら、どうやら私の事はただヤれそうだから付き合ったみたいな事を聞いてしまいました」


 「本当のクソ野郎だね」


 「はい…そのクソ野郎と女の子たちは、みんな私の目は嫌いだとか陰キャで気持ち悪いとか…好き勝手言ってくれちゃってました…」


 「………」


 俺も最初は唯希さんの目を見た時は驚いたけど、決して気持ち悪いとは思わなくて…今は寧ろ可愛いと思っている


 「それで…その、学校へ行きにくくなってしまって…」


 「旅館で暫く寝泊まりしてる、と」


 「はい…ストレスと言うんでしょうか、色々と限界が来ちゃいまして…お父さんに相談したらあの旅館に案内されたんです」


 「なるほど…」


 「あ、因みに支配人さんは父の姉の夫のお母さんだそうです」


 「へ、へぇ…」


 確かにおばちゃんの唯希さんに対しての話し方、まるで前からの知り合いかのように気さくに話してた事を思い出した


 「私、その…あ、また話が少しかわるんですけど、小学生の頃イジメを受けていまして」


 「え、は?イジメ?」


 誰だ唯希さんをイジメた奴ぁ…


 「四年生まではただの活発な子でしたよ?…五年生からイジメが始まって、ギョロギョロした目が気持ち悪いからギョロ目とあだ名を付けられたり、授業中消しカス投げられたりしてました」


 「…変わった子がいたら相手の気持ちをお構い無しにイジメが始まるよね」


 「そうですね…」


 こんなにも可愛いのに…見る目ないな


 「小学生の頃はまだ良かったですが、最近までは本当に…酷かったんです」


 「え…」


 「また話を戻すとですね…そのクソ野郎とのお付き合いが解消された翌日に私の小学校の時のイジメされてた噂が流れ始めたんです」


 「………」


 「そして今度はクラスどころか学年中ギョロ目呼ばわりされて、イジメも小学生の頃と比じゃないくらい受けてきました」

 「机の上に沢山死ねとか妖怪ギョロ目ちゃんだとか書かれていたり、上履きが木に引っかかっていたりトイレの便器の中にあったり…靴の中に沢山の精液が詰まってたりしてました」


 「………っ!」


 犯人を見つけて殺したいと心の底から湧き上がったけど、唯希さんの泣きそうな顔を見てどうにか冷静になった


 「私それで辛くなってしまい…学校を辞めました」


 「そう、なんだ…」


 「私…この目が嫌いです。両親や親族の誰にも似ていないこの目のせいで様々な悪口を言われました」


 膝を抱え込んで…顔が見れないくらい俯いてしまった


 「ただ私は…四年生の頃までの日々を過ごしたいだけなのに…」


 「唯希さん」


 「………はい…?」


 バーナーを消して沸騰したお湯が入ってるケトルを持ち、ドリッパーの上からフィルターギリギリのとこまでお湯を掛ける


 「俺は、唯希さんの目が好きだよ」


 「え…あ、え、何でですか?」


 泣き目でギョロっと四白眼が俺を見る


 「そのクリクリとしった目、可愛いと思うし…何より唯希さんの目だから」


 抽出したコーヒーを唯希さんに渡す


 「……ふふっ、何それ」


 笑った


 やっぱり笑顔が本当に似合う…スゴく可愛い


 変な事言ったかなと頬を指先で掻いた


 「…コーヒーも、ふふっ…入れ方が下手ですね」


 「そうなんだ?見た目も香りも普通のコーヒーと変わらないと思うけど…」


 「…飲んでみます?」


 唯希さんから俺の入れたコーヒーが差し出され、受け取りちびちび飲んでみる


 「…え、普通にコーヒーの味しない?」


 「普段からコーヒーは飲まれないのですか?」


 「飲まないね、時たま飲みたくなる時飲むくらい」


 「ふふ、じゃあ美味しいコーヒー作ってあげます」


 見てて下さいね?と言われ見続ける事にする


 新しいフィルターとミルの引き出しから半分残しておいた挽いたコーヒー豆をドリッパーの上に再びフィルターをセットして、挽いたコーヒー豆を全て入れる


 リュックサックから水筒に付いてるコップを取り、テーブルの上に置いてドリッパーをコップの上に置く


 ドリッパーの上に〈の〉の字にお湯を入れ、三十秒程待つ…それを四回繰り返した


 コップの半分よりちょい上までコーヒーを抽出し、これで完成した


 出来上がったコーヒーを差し出され、受け取りまたちびちびと飲む


 「———あれ、味と香りが全然違う…」


 「…でしょ?」


 と自信満々かつ困り眉だけど笑顔で言われた


 「入れ方変えるだけでこんなに違うなんてね」


 自分の入れたコーヒーを再び飲んでみる


 「…あまり美味しくないな」


 また飲んでみたいと言わんばかりに手を差し出され、俺の入れたコーヒーを渋々差し出す


 「不味くはないですけど…」


 そこでふふ、と小さく笑い



 「でも、暖かくなります…かなたさんの入れたコーヒー」


 そう言って俺の入れたコーヒーを少しずつ味わい


 ———やがて飲み干した…



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