悪意のレンズ、あるいは神の尊厳回帰(リストア)
全次元を統べる俺の指先に、冷たいコンクリートの床に響く嘲笑と、フラッシュの光にさらされた犠牲者の絶望、そして「テロ対策」という免罪符の下で加速した、剥き出しの嗜虐心が伝わってきた。
2004年、イラク。アブグレイブ刑務所。そこでは、民主主義の守護者を自称する米軍兵士たちが、囚人に対して全裸での連行、性的な羞恥心の強要、犬による威嚇、そしてそれらを笑顔で記念撮影するという、吐き気を催すような愚行を繰り返していた。それはもはや尋問ですらない。力を持つ者が持たざる者を、ただの「肉の塊」としてあざ笑う、人間性そのものの自壊だった。
「……正義の軍服を纏いながら、闇の中で獣以下の愉悦に浸ったか。他者の羞恥を記録に残し、尊厳を娯楽に変えたその罪、神の『絶対的な内面の反映』をもって清算させてやろう」
俺の隣で、エルゼが瞳に凍てつくような冷蔑と、屈辱に震える人々への深い鎮魂を宿し、カメラを向けながら親指を立てる兵士たちの幻影を見つめている。
生命の根源であり、あらゆる存在の自尊心を宇宙の光と定義する俺にとって、他者の尊厳を物理的・精神的に剥ぎ取り、それを「記録」として弄ぶ行為は、世界の調和に対する最も劣悪な冒涜だ。
「エルゼ、行くぞ。……『撮る側』でいられると確信していた者たちに、真の『露出』を教えてやる」
俺は時空を穿ち、かつて「尋問の効果を高めるためだ」と現場に黙認を与えた軍高官たちの執務室と、今なお過去を隠して平穏に暮らす実行犯たちの寝室へ同時に降臨した。
$$Authority: \text{The Mirror of Absolute Human Dignity}$$
$$Effect: \text{Sensory Transference / Eternal Exhibition of the Soul}$$
「な、なんだ……!? 全身を数千のカメラに見つめられているような、耐え難い視線を感じる! 服を着ているのに、魂を剥き出しにされて引き回されているような、凄まじい羞恥心が止まらない!」
かつて囚人を全裸にし、犬をけしかけて笑っていた者たちが叫ぶ。彼らの肉体は、俺が指を一鳴らしした瞬間に黄金の『投影体』へと変貌し、彼らが犠牲者たちに味わわせたすべての「屈辱」と「恐怖」が、物理的な逆流となって彼ら自身の精神を直接粉砕し始めた。
「君たちは、他人の痛みを写真に収めて楽しんだ。……ならば、君たち自身の魂を、一分一秒の思考さえも全宇宙に『最も醜悪な姿』でさらけ出される黄金の展示物に演じ変え、永遠に拭い去れない羞恥の炎で焼かれ続ける、終わりのない断罪の舞台に立たせてやろう」
俺が掌をかざすと、虐待を主導し、実行した者たちの魂に、物理的な「因果の反転」が刻まれた。彼らはどれほど自分を隠そうとしても、その周囲には彼らが撮影した「被害者の絶望した顔」が黄金のホログラムとなって浮遊し、彼ら自身がかつての犠牲者と全く同じ姿勢で、虚空の観衆から永遠にあざ笑われ続ける精神的監獄に幽閉される。
彼らは「命令に従っただけだ」という言い訳に逃げることも、死をもって忘れ去られることもできない。
ただ永遠に、自分が「モノ」として扱った人々の苦痛と同期し、自らの存在が「卑劣な虐待者」であることを証明し続ける『生きた恥辱』として放置される。
一方で、俺は掌を広げ、暗い檻の中で魂を削り取られ、声なき叫びを上げていたすべての人々へ、生命の光を降り注いだ。
踏みにじられた「自尊心」はアルカディアの「至高の栄光」として黄金の輝きの中に修復され、彼らはアルカディアの「不滅の賢者」として、誰にも汚されることのない聖なる静寂と、最高純度の敬意に包まれて永遠の癒やしを得る。
大地には「いかなる権力も、囚われし者の尊厳を娯楽とし、これを汚すことはできない」という神聖なる人格尊厳の法が刻まれた。
「主……。闇のフラッシュに焼かれていた人々の誇りが、今、貴方様の力で『揺るぎない魂の盾』へと再構築されましたね」
エルゼが美しく微笑み、俺の肩を抱く。
俺は、黄金のフラッシュの中で自らの醜悪な笑い声に苛まれ、永遠に絶叫し続ける「背信の兵士たち」の残滓を見捨て、再び至高の座へと戻った。
神となった俺の前で、弱者への悪趣味な蹂躙は通用しない。
俺の庭において、他者の羞恥を愉悦とする不遜な者には、ただ永劫に続く「自らへの羞恥の再来」こそが相応しい。
著者の完結済代表作はこちら
「シャルンホルストとグナイゼナウ」
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