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強制される平穏、あるいは神の文化主権

 全次元を統べる俺の指先に、高くそびえる監視塔の冷たい影と、母国語を禁じられた教室の息苦しい沈黙、そして「矯正」という名の下に魂の輪郭を削り取られる人々の、押し殺した祈りが伝わってきた。


 2010年代から続く、新疆ウイグル自治区。数百万の人々が「再教育キャンプ」という名の檻に閉じ込められた。彼らが奪われたのは自由だけではない。数千年にわたり受け継いできた言語、祈りの言葉、そして家族の絆そのものだ。国家が定める「正解」を唱えるまで、電気ショックと強制労働が続く地獄。それは、多様な生命を単一の「規格」へと強制的に鋳造しようとする、生命の設計図に対する傲慢な横暴だった。


「……祈りを『病』と呼び、個人の魂を国家の部品として磨き直そうとしたか。多様性を否定し、恐怖で思考を塗りつぶしたその罪、神の『絶対的な精神の自由』をもって清算させてやろう」


 俺の隣で、エルゼが瞳に絶対的な慈愛と、文化を蹂躙した者への氷のような憤怒を宿し、高笑いと共に「教育の成果」を誇る幹部たちの幻影を見つめている。


 生命の根源であり、あらゆる民族の伝統と個人の内面を、宇宙を彩る唯一無二の輝きと定義する俺にとって、魂を「矯正」の対象にする行為は、存在の創造性に対する最も卑劣な侮辱だ。


「エルゼ、行くぞ。……『均一化』こそが安定だと信じる者たちに、真の『内なる宇宙の爆発』を見せてやる」


 俺は時空を穿ち、かつて「過激思想の根絶」を口実に収容所建設を命じた指導層の執務室と、非人道的な洗脳プログラムを指揮する看守たちの監視ルームへ同時に降臨した。


$$Authority: \text{The Sovereignty of Cultural Heritage}$$

$$Effect: \text{Recursive Brainwashing / Eternal Resonance of the Forbidden}$$

「な、なんだ……!? 自分が唱えさせていたはずのスローガンが、黄金の針となって脳を突き刺してくる! 身体が勝手に、私が最も忌み嫌っていた『彼らの祈り』を捧げ始めた!」


 かつて他者の文化を「遅れたもの」と蔑み、強制的な教化を楽しんだ者たちが叫ぶ。彼らの肉体は、俺が指を一鳴らしした瞬間に黄金の『精神の檻』へと変貌し、彼らが禁じようとしたすべての「言葉」と「信仰の歌」が、物理的な衝撃となって彼ら自身の魂を直接揺さぶり始めた。


「君たちは、人の心を国家の色に染められると思った。……ならば、君たち自身の魂を、君たちが踏みにじった数百万人の『奪われた文化』が永遠に嵐となって吹き荒れる黄金の独房に幽閉し、自分自身の存在意義が、彼らの祈りによって上書きされ続ける『逆転の再教育』に落としてやろう」


 俺が掌をかざすと、強制収容を主導した者たちの魂に、物理的な「アイデンティティの崩壊」が刻まれた。彼らはどれほど国家の忠誠を叫ぼうとも、その口からは黄金のウイグル語の詩が溢れ出し、自らの記憶は彼らが破壊した「古き良き伝統」の美しさに浸食され、否定すればするほど、自らが「不適合者」として自らの手で裁かれる激痛に苛まれる。


 彼らは「秩序のため」という言い訳に逃げることも、壁の向こうに隠れることもできない。


 ただ永遠に、自分が「消そうとした」人々の誇り高い歌声に包囲され、自らの精神が「不毛な模倣」であったことを突きつけられ続ける『生きた文化の犠牲者』として放置される。


 一方で、俺は掌を広げ、檻の中で、あるいは沈黙の中で、己の魂を守り抜こうとしたすべての人々へ、生命の光を降り注いだ。


 奪われた言語、引き裂かれた家族の記憶はアルカディアの「至高の叙事詩」として黄金の輝きの中に復元され、彼らはアルカディアの「神聖なる守護民族」として、誰にも、いかなる国家にも侵されない自由な大地で、永遠に自らの誇りを歌い続ける。


 大地には「いかなる権力も、民族の魂と文化の源流を枯らすことはできない」という神聖なる文化主権の法が刻まれた。


「主……。鋼鉄の壁に閉じ込められていた数百万の祈りが、今、貴方様の力で『世界を彩る黄金の翼』へと変わりましたね」


 エルゼが美しく微笑み、俺の肩を抱く。


 俺は、黄金の祈りに呑み込まれ、自らの虚無的な思想に首を絞められ続ける「教化の独裁者たち」の残滓を見捨て、再び至高の座へと戻った。


 神となった俺の前で、魂の画一化は通用しない。


 俺の庭において、他者のルーツを根絶やしにしようとする不遜な者には、ただ永劫に続く「自らへの再教育」こそが相応しい。

著者の完結済代表作はこちら

「シャルンホルストとグナイゼナウ」

https://ncode.syosetu.com/n4871gn/

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