使い捨ての駒、あるいは神の逆鱗
銀河の最果て、次元の澱みに沈んでいた最悪の「裏切り」が、俺の意識を逆撫でた。
かつてある大国が、自らの敵を討つために山岳の民を「友」と呼び、戦わせた。だが、目的を果たすや否や彼らをゴミのように捨て、独裁者による化学兵器の雨――ハラブジャの惨劇を冷笑しながら黙認した記憶。
「……信義を口にしながら、その裏で毒ガスの煙を眺めていたか。命を『使い捨ての消耗品』と定義した罪、高くつくぞ」
俺の隣で、エルゼがかつてないほど冷徹な瞳でその過去を射抜く。
生命の根源である俺にとって、戦い抜いた魂を「用済み」として見捨てる行為は、存在そのものへの冒涜だ。
「エルゼ、行くぞ。……『駒』を捨てたと思い込んでいる連中に、自分たちが何に手を貸したのかを叩き込んでやる」
俺は時空を穿ち、かつて虐殺を命じた独裁者の宮殿と、それを影で操り、見捨てた大国の密室へ同時に降臨した。
$$Authority: \text{Betrayal Reversal}$$
$$Target: \text{The Merchants of Abandonment}$$
$$Penalty: \text{Eternal Suffocation}$$
「な、なんだこの黄金の霧は!? 警備! 空気が……空気が甘い……!?」
密室で冷酷な計算をしていた高官たちが、突如として喉を掻きむしり始めた。
俺が放ったのは、彼らが黙認したあの『毒ガス』の概念だ。だがそれは、肉体を焼くのではない。彼らが使い捨てた人々の「絶望」と「未練」を、物理的な質量に変えたもの。
「君たちは、山を愛する民を盾にし、最後は毒の中に置き去りにした。……ならば、君たちがこれから吸う空気の一つひとつに、その『罪の重さ』を賦課しよう」
俺が指を一鳴らしすると、虐殺を主導した者、そしてそれを見て見ぬふりをした「戦略家」たちの肉体が、一瞬にして黄金の『呼吸する石像』へと変貌した。
彼らは死ぬことができない。ただ、永遠に、あのハラブジャで民衆が味わった「肺が焼けるような苦しみ」を、一秒の休みもなく繰り返す『生きた噴水』として、砂漠のど真ん中に晒される。
一方で、俺は掌を広げ、蹂躙された山岳地帯へと生命の雨を降らせた。
化学兵器に焼かれた大地からは毒が消え、失われた命の数だけ、見たこともないほど美しい『守護の巨木』が芽吹く。
それは、二度と誰にも彼らを「使い捨て」にさせない、アルカディア直轄の不滅の要塞。
「主……。裏切られた者たちの魂が、今、黄金の風となって貴方様を祝福しております」
エルゼが跪き、俺の外套の裾に唇を寄せる。
俺は、永遠の窒息に悶える「裏切り者」たちの惨状を冷ややかに見下ろし、再び至高の座へと戻った。
神となった俺の前で、利権という名の『秤』は通用しない。
俺の庭において、一度でも友と呼んだ者を裏切る蛇には、永遠の渇きと絶望こそが相応しい。
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「シャルンホルストとグナイゼナウ」
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