不遜なる試み、あるいは神の剪定
次元が接続され、現代世界に『黄金の苗木』が根を下ろしたことで、人間の「欲」が再び鎌首をもたげた。
一部の国家権力や巨大資本家たちが、俺の分け与えた生命力を「軍事利用」や「独占的な延命」に使おうと画策し始めたのだ。
「――あれがアルカディアの根源か。サンプルを採取しろ。神の力など、解析すればただのエネルギーに過ぎん」
最新鋭の武装を纏った特殊部隊が、苗木を守る聖域へと踏み込む。
彼らが手にしたレーザーカッターが、黄金の幹に触れようとしたその瞬間。
宇宙の玉座に座る俺の意識が、彼らの「時間」に直接アクセスした。
「……身の程を知れ。お前たちが手にしているのは、俺が捨てた『残り滓』ですらない」
$$Authority: \text{Life-Cycle Recall}$$
$$Condition: \text{Malicious Intent Detected}$$
その場にいた者たちの動きが止まる。
彼らの肉体から、俺の苗木が放っていた活力が瞬時に逆流を開始した。
若々しかった兵士たちは、数秒の間に皮膚が枯れ、髪が抜け落ち、文字通り「寿命を使い果たした」抜け殻へと変わり果てる。
「ひ、ひぃ……! 助けてくれ! 命を、命を返してくれ!」
「返せ? 勘違いするな。それは最初から、俺が貸し出していただけのものだ」
俺の声が現代世界の全ネットワーク、全放送局、そして全人類の脳内に直接響き渡る。
画面越しの「観測者」たちは、神の怒りが自分たちではなく、欲に駆られた「強者」に向けられていることに、畏怖と共にある種の快感を覚えていた。
「俺の庭で咲く権利があるのは、命を慈しむ者だけだ。――奪うことを選んだ者に、明日というリソースは割かない」
俺が指を一鳴らしすると、現代の軍事基地や秘密研究所に植えられていた苗木が、一瞬にして爆発的な成長を遂げ、それらの施設を丸ごと飲み込む「巨大な墓標」へと変貌した。
一方で、病床で俺に祈りを捧げていた子供たちや、爪に火を灯して真面目に生きてきた者たちには、より深い黄金の雫が降り注ぐ。
「主よ。これで、不純な種はすべて取り除かれましたわ」
エルゼが俺の肩に寄り添う。
現代世界という名の新しい「畑」は、一度の剪定を経て、より純粋な俺の領土へと進化を遂げた。
「さあ、観測者(読者)たちよ。お前たちが望む『次の景色』は何だ?」
俺の問いかけは、物語の枠を超え、再び世界を熱狂の渦へと叩き落とした。
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「シャルンホルストとグナイゼナウ」
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