41.はっ!?-私が二人を護らないと-
全47話です
「はっ!?」
ゼロゼロは何とか意識を取り戻しつついた。とっさに回避行動を執ったとはいえ、あの爆発だ、当然無事では済まない。
――私が二人を護らないと。
今、自分ができる限りの情報を収集する。レイドライバー本体は大破、四肢や頭部の情報が降りてこないところを見ると、自力で動く事は不可能と考えられる。
次、パイロットの脳波と心拍をチェックする。するとどうだろう、心拍は停止している。とっさにパイロットスーツに取り付けられたAEDとエピネフリンを投与する。何度か繰り返しているうちに何とか心拍が戻った。だが脳波に乱れが出ている。このままにしておくのは危険だが、今のゼロゼロにはどうしようもない。
――カズくん、もう少し頑張って。
そして、コアユニットだ。
バイタルモニターを呼び出すと、心拍は正常だがこちらも脳波が乱れている。おそらく意識はないだろう。あの爆発のあとだ、痛みの信号はとっさにカットしたがイニシャルの信号は、残念ながらスルーしてしまった。相当痛い思いを、文字通り四肢が千切れるほどの痛みを一瞬とはいえ味わわせてしまったであろう事は想像に難くない。
――薬剤投与してもいいけど、今、二人をこのまま覚醒させるのは危険だわ。とりあえず心拍は獲ったからここは救出を待ちましょう。
「大尉! 大尉!!」
先ほどから無線で呼びかけられているが流石に反応出来ない。そうしているうちに直ぐにボディーに振動が伝わる。恐らくは被ったがれきを取り除いているのだろう。しばらくしたところでとっさにかばった左腕を動かされた。
――あぁ、がれきが取り除かれたんだな。僚機が傍にいるって事は、戦闘は終了したんだろう。
そんな事を考えていると、微弱だが暗号化された信号が飛んで来た。
――これって、前にカズ君が言っていた、確かクリスって娘の……。
クリスの話はサブプロセッサーであるゼロゼロには予めしていた。そう、二人がどんな関係かも。
その時のカズは、
「軽蔑してくれていいよ。現にそれだけの事をしているのだから」
そう言っていた。だが、ゼロゼロは、
「軽蔑なんてするわけないじゃあない。きみはその娘を助けているんだから。まぁ、エッチな事は置いておいて」
ゼロゼロはエッチな事にそんなに免疫がある訳ではない。そんな彼女がクリスとの関係を聞いた時、それを[恥ずかしい]と思うより先に[羨ましい]とさえ思ってしまったのは、それだけカズが自分の中心にある証拠か。
――私もカズ君に縛られて、身動きが出来ないようにしてもらって、その……。
とまで妄想を膨らませたあと、いかんいかん、とばかりに邪念を払う。
「暗号通信を受信、復号の結果はクリス機であると確認。こちらのパイロットのバイタルを送信っと」
ゼロゼロは本当なら直接通信したい衝動を抑えていた。
クリスという娘は[こちら側]の人間だとは知らされていたがここは戦場だ、他の僚機もいるはずだ。そんな環境下で通信をするのは流石にマズい。なので、しばらくは黙って無線のやり取りを聞く事にした。
「よかった! 各員、大尉はひとまずは無事のようです。この場は危ないので直ちに離脱します。ゼロツーと私でゼロゼロの機体を持ちますから、ゼロワンは周辺警戒のためにこちらに来てください。ワンワンは現状を維持、周辺警戒を引き続きお願いします」
クリスが立て続けに指示を出すと、
「マスターの言うこと以外は聞かないように言われているんだが、あんたがマスターを助けてくれるんなら従うよ」
「ゼロツー、了解。抱えるわよ」
「カズ、生きてるのね! 良かった……。直ぐ合流するね」
――黙ってる人がいなければ自分を含めて全部で五体、って事はワンワンというのが例の娘たちの機体かぁ。
直ぐに持ち上げられ立っている姿勢になる。両脇を抱えられているのは損傷をかろうじて免れた体表センサーの触感で伝わってくる。
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