11.日本を取り巻く情勢は-軍拡の道に進んでいるのだ-
全47話予定です
日曜~木曜は1話(18:00)ずつ、金曜と土曜は2話(18:00と19:00)をアップ予定です(例外あり)
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この頃、日本を取り巻く情勢はあまり楽観視出来るものではなかった。前述の[複合国家]の構想があちらこちらで挙がっている中、日本は安保理があるのでそちら側の陣営ではあるものの、地理的には大陸の国々に近い。
そこで最近、その[大陸の国々]が日本を取り込もうとしているのだ。それは、外交による対話だけではない。頻繁に領空、領海を侵犯するようになってきているのだ。初めのうちは領空侵犯も領海侵犯もそれぞれ自衛隊が出動して[エスコートしてお帰り頂く]事を繰り返してきたのだが、ある時、その自衛隊の艦艇にあろうことか発砲し、結果として死者が出るという事件が起きた。
この事件は当の日本国内に相当の衝撃を与えた。
今までも確かに度々侵犯があって、少しずつではあるものの[自衛隊を自衛軍、もしくは正式な先制攻撃も辞さない軍にしよう]という世論があった。
だがそこは[日本]である。
戦争に対するアレルギーとも言えるほどの反応はそう簡単に抑えられるものではない。実際に自衛軍の話が湧き出ると直ぐに反対論が押し返してしまい、悶々とした日々が過ぎていたのである。
そんな中の自衛艦への[攻撃による死者]である。この事態には国内世論も[軍隊化は止む無し]の声が一気に広がった。これには大東亜戦争の生存者が少なくなっている現状が挙げられる。そう、時代は戦争体験をしていない世代に交代しているのだ。
そこで、憲法論議が一気に加速して行われ、今まで悶々としていた空気の反動か、ついには国民投票にまで発展した。
そこでの結果は、僅差ではあったものの[憲法第九条の無期限停止]という、内容としては十分激しいものであった。
つまり、戦争放棄を[放棄]したのである。
今までも何かある度にこの第九条が話題に上ってはいたが、その時々の政府の見解という形で運用されていた。それがここへ来ての[憲法第九条の無期限停止]である。
日本は、事実上日本軍の創設へと乗り出したのである。これには西側、特に日本に駐屯している国からの軍化の強い要求を跳ね返せなくなっていた、という事実も裏ではあったのは事実である。
そして今では陸海空のそれぞれが、日本自衛陸軍、日本自衛海軍、日本自衛空軍という名前になり、それぞれ国を守っている。
それと同時に、日本は声明を発表した。
それは[我が領土、領海、領空を侵犯するものは、交戦の意思が見られなくともこちらから先制攻撃しうる]というものであった。
時代の流れは自衛隊を文字通り[軍隊]という組織に変えてしまったのだ。
これにはもちろん各国が一斉に反発した。
それはそうだ[日本軍]というものにアレルギーを持っているのは何も国内だけではない。大東亜戦争の当事国にとっては[日本が軍化した]という事実は到底受け入れがたいものであった。大陸の国々ともかくとして、それは同盟国である半島の国にも言える話だ。
半島の国は直ぐに声明を発表。それは[日本軍の創設は断じて容認出来ない]という内容であった。もちろん、他の周辺諸国からも同様の声明は出された。
だが、今までの大人しかった優等生だった日本は、ある意味[キレて]しまったのだ。
度重なる協議の結果、駐屯している国を仲介国とするものの、半島の国は事実上、日本とは同盟国ではなくなってしまったのだ。それは、半島の国が仮に無許可で軍隊を日本に近付けた場合は、敵国とみなすという事を意味していた。
そんな事件を境に各国との緊張は激しさを増していく事になる。
日本の真意を確かめようとするかのように、日本の声明のあとに大陸の国々が領海や領空を侵犯する事件が立て続けに起きた。
そこでの日本は極めて軍事的な対応を見せたのだ。侵犯した戦闘機には背後を取って、その機体にミサイルのロックオン警告を、そして艦艇には威嚇射撃からのミサイルレーダー照射を行ったのだ。
そして、日本は今まで防衛に費やしてきた装備を先制攻撃も出来るものに順次換装していった。それと同時に事実上足りていない兵力に対して徴兵制度が、もしもの時の為に物資を調達できる徴用制度が順次国会で成立、施行される運びになっている。
日本はまさに軍拡の道に進んでいるのだ。
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