10.最高の施設-人体実験をしているらしいんだよ-
全47話予定です
今回は文字数が少ない(1000文字でした)ので、19:00にもう1話アップします
「何食べる? 何でもいいぜ、奢ってやるよ」
吉岡にそう言われたカズだが、もともと昼ご飯をゆっくり摂る習慣が無い。それは一秒でも研究に専念したいし、昼食に割く時間が惜しいからである。
それでも、千歳たちと一緒に大学生生活をしていた頃は、昼食はみんなでいつもの四階で食事を摂っていたが、大学院に入っていざ一人になると、食事より興味優先、そんな生活をしていた。
――そう言えば、襟坂さんともしばらく会ってないな。
「あぁ? そんなんじゃあ、体が持たんぞ。よし」
と、そんな話をしたら、吉岡がメニュー表をこちらに出して、
「これくらい食え」
夕食と言ってもおかしくないセットコースを指さしてきた。
――いやいや、そんなに食べたら夕飯食べられなくなるって。
「じゃあ、夕飯も一緒に摂っちまえ」
「いや、それは……」
「すみませーん、このステーキハンバーグのCセットと、サンドイッチ、それからドリンクバーを」
「おいおいおい」
「少々お待ちください」
カズが口を挟む間もなく店員もサッサと去って行ってしまう。
「んで? さっきも聞いたが最近どうよ?」
注文を頼むと同時に席を立ち、有無を言わせずドリンクバーで二人分のアイスコーヒーを淹れて帰って来た吉岡が問う。
「どうもこうも、機械生体工学の道にどっぷりつかってますがな。おやじはだな……彼女でも作れ。そして車をだな……」
「やっぱり行く気なのか、例の天野が就職したっていう」
――って聞けよ、おやじぃ。
「生体応用工学研究所、か? そのつもりだけど?」
吉岡の顔が浮かない。
そんな顔をしてるものだから、
「何で? 毎日千歳は出勤してるけど、愚痴の一つも聞いた事ないぜ。聞けば[最高の施設]だって」
吉岡からグラスを受け取りながらカズが問う。
「今はまだ入りたてだからな、そんな核心に就く仕事もしていないんだろうよ。なぁカズよ。天野もそうだが、今からでも遅くないから少し考えなおしたらどうだ?」
と来た。
吉岡の話によると、彼の薬局に出入りしている卸業者が、件の研究所にも商品を卸しているそうなのだ。その話と言うのが、
「噂も一部に含まれるが、どうも政府だけでなく[軍]が一枚噛んでいるって事と、正に[生体]を使って色々と実験をしている、つまりは人体実験をしているらしいんだよ」
吉岡もコーヒーを口にする。
しばらく二人とも黙ったままだ。
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