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貧乏テイマーだけど成り上がりたい ~魔法学園の貧乏学生は世紀の大発見をするようです~  作者: 液体猫
第一章 愚か者のスライムと自信過剰のマンドラゴラ
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ウキウキマンドラゴラと愚か者のスライム

 スライムの発表会には薬液を出すケミカルスライムを提出することに決めた。

 そしてもう一つの課題であるマンドラゴラだが、俺が魔力を与えすぎた結果、育ちすぎてしまったマンドラゴラはますます勢いよく生い茂り、地面に沿うように盛大に葉を広げ、最近では蕾までつけ始めた。普通ならどう見ても栽培失敗である。


 マンドラゴラの栽培で重要視されるのは根っこの部分に溜まっている魔力だ。この根に蓄えられた魔力は時期が来ると消費され、花を咲かせ、実や種をつくるために使われる。つまり、蕾ができた時点で根に溜まっていた魔力を消費し始めているということだ。

 マンドラゴラに花を咲かせるなと命令するのも難しい。人間に向かって背を伸ばすのをやめろと言うようなものだ。だからマンドラゴラを栽培する時はこまめに様子を観察し、蕾ができる直前の魔力が一番溜まった状態で収穫するらしい。


 でも、うちのマンドラゴラ、すでに栽培失敗しているってスコット先生に言われてるから。枯れてなければぶっちゃけどうでもいい。蕾ができようと花が咲こうと関係ない。


「どうせ評価は最低評価がつくだろうから、遠慮なくどんどん魔力を与えてしまおう。お前も好きなだけ食べていいぞ、マンドラゴラ」


 ――~~~~♪


 マンドラゴラはスライムたちより更に思考が単純で感情くらいしか把握できない。それでもこうして魔力を与えたり話しかけたりすると喜んでいるのがわかる。

 なので大量の魔水を撒いてやり、ライトスライムを利用して作り出した光属性の魔力を与え、ついでに魔石もつくって畑の中に埋め込んでやった。魔石のおかげで地面が魔力で満たされて心地よいらしい。


「でっかくなーれ、でっかくなーれ、綺麗な花を咲かせるんだぞー」


 ――~~~~~~~~♪♪♪


 試験のことを忘れて、マンドラゴラを大きくすることだけを考えるのは意外と楽しい。植木鉢や花壇で花を育てている人がいるけれど今の俺と同じような心境だったんだろうか。悪くないな。


 ◆


 そんなこんなでスライムやマンドラゴラの準備が整い、他の生徒たちも準備ができたところで発表会が始まった。


「それではこれから課題の採点を始める。スライムを持ってきなさい」


「……はい」


 一番最初の生徒が前に出たが、表情が暗い。

 手に持っているスライムも隠すように持っているのでよく見えない。

 なんだ?


「……それがお前の選んだスライムか」


「は、はい……。これです……」


「えっ……」


「……あの、スライムは……」


 スコット先生の表情が険しくなった。口を引き結び、明らかに機嫌が悪くなった様子だった。

 生徒が半泣きの顔でスライムを持ち上げる。ようやく見えたスライムの全貌にクラス中がざめいた。


「――ストーンスライム、です……」


 【愚者のスライム】。愚か者の代名詞と言うべきスライムにどうして進化させてしまったのか……。


 肩を落とした彼の後に他の生徒が続いて発表していくが、その中にもストーンスライムを連れている人間がチラホラいた。

 他の生徒が餌に何を与えたのか、進化したスライムが何をできるのかと説明する中で、ストーンスライムを一瞬だけ見せて一言二言しゃべって席に着く。


 ストーンスライムに進化させた生徒が出てくる度にスコット先生の顔にも怒気が浮かび上がり、教室内の空気は最悪だった。


(……あ……シド……まさか……!)


 青白く強張った顔をしているシドの手の中に、ちらりと見えてしまった。

 スライム本来の柔らかさが失われたゴツゴツとした姿――どう見てもストーンスライムだった。


(ストーンスライムなんか出しても評価されないに決まってるのに、どうなってるんだ……?)


 違和感だらけの発表会。ただひたすらに気持ち悪さだけを感じていた……。

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