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貧乏テイマーだけど成り上がりたい ~魔法学園の貧乏学生は世紀の大発見をするようです~  作者: 液体猫
第一章 愚か者のスライムと自信過剰のマンドラゴラ
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この手の中に残ったモノ

 スコット先生に怒られた時からしばらく経ち、ショックからも立ち直ったところでリゼットとの取引が終わった。廃ポーションをたらふく飲んだスライムがついに進化したのだ。


「おめでとうソラくん。試験、いい点が取れるといいわね」


「ありがとう。リゼットも試験がんばって」


 最後にそう言ってリゼットとは別れた。リゼットもリゼットで自分の試験の準備があるらしく、これから最後の追い込みに入るらしい。試験まで残りひと月を切っていた。


「――で、お前は何なんだ?」


 今回も二匹に分裂進化したスライムを手に取る。

 一匹目は半透明の明るい緑色をしたスライム。こいつは元々目的にした廃ポーションと同じ薬液を吐き出すケミカルスライムだ。塗ると傷口が化膿しににくなり、治りが少し早くなる効果があるのでちょっとした怪我をした時に便利だろう。


 問題は二匹目だ。透明な真っ白のスライムでほのかに輝いているように見える。


「……魔力を出せるのか?」


 ――魔力ー! 出すー!


 虹色のマナスライムに似た白いスライムはどうやら魔力を吸収したり放出できるらしい。パスを通じて魔力が送られてくるが……何か違和感がある。

 マナスライムが送ってくる魔力と違い、白いスライムが送ってくる魔力はどうも馴染んでいない感触がする。ふとした瞬間に溢れて霧散してしまいそうな印象だ。


「……もしかして、これって属性付きの魔力か?」


 俺自身の魔力は無属性だが、魔力属性は他にも存在している。

 もっとも多い四属性、火水風土の四つに、それより数が少なく希少とされる光と闇の属性。あるいはそれ以外に存在すると言われている特殊な属性。

 今回進化した白いスライムもそうした属性魔力を持っているのだろう。恐らく……。


「……光属性の魔力を帯びた、ライトスライムか?」


 【スライム進化一覧】にマナスライムと一緒に載っていた六属性のスライム。そのうちに一つが目の前にいる白いスライムの正体だろう。


 ――魔力ー! お腹空いたー!


 なんで突然ライトスライムなんていう新種に進化したのかわからないが、すぐにお腹が空くのは変わらないらしい。さっき魔力を放出させた分を補うように与えてやる。


 ――魔力ー! おいしー!


 ライトスライムから渡されて持て余していた光属性の魔力だけでなく、俺の持っている無属性の魔力もライトスライムに渡してみたが、特に気にする様子はなく普通に吸収していた。


「俺が属性魔力を吸収することはできないけど、属性スライムは無属性の魔力を吸収できるみたいだな。授業で言ってた通りだ」


 無属性の魔力持ちがテイマーに向いている理由。それは無属性魔力が相手の属性を選ばずに従魔契約を結べるからだ。

 例えば火属性魔力持ちの場合、火属性の魔物とは相性がいいが、それ以外の魔物だと相性が悪くなってしまう。特に火と水は反発する属性なので絶対に水属性の魔物と契約することはできない。同じように風と土、光と闇は反発すると言われている。

 そういうわけなので光属性のライトスライムでも魔力を餌として与えることは可能だ。マナスライムたちもいるし魔力枯渇の心配はない。


「ただ、光属性の魔力とか言っても使い道がないんだよな……」


 光属性の魔力持ちは回復や浄化の魔法が使えるらしいけど、当然俺がそんな魔法を覚えているはずもないし、体に馴染まないようので今後も使える気がしない。

 ライトスライムが光の魔法を使えるなら、一気にやれることが増えて大助かりなのだが。


 ――魔法ー? なにー? 魔力出すー?


 試しに聞いてみたが、やはり魔法を使うことはできないらしい。光属性の魔力を吸収し、放出する。それだけしかできなかった。やっぱり残念な子だった。


 ◆


 数日後。

 いろいろと試してみたところ、スライム製ポーションが効果を発揮するには無属性のマナスライムではなく、光属性のライトスライムが必要ということがわかった。

 ポーションの回復力は光属性の魔力によるものだったらしい。考えてみたら当然だ。傷口にかけるだけで傷が治るなんて光属性の回復魔法そのまんまだ。回復魔法を使うには光属性の魔力が必要で、無属性の魔力では発動できない。


 ポーションの効果と魔力について考えてみたが、錬金術という魔術がどういうものかわかった気がする。

 錬金術師は無属性の魔力持ちなので光属性の魔力を出すことはできない。

 なら、ポーションに使われている光の魔力はどこから来ているのか?


 答えは簡単だ。ポーションの材料に使われる薬草が光属性の魔力を持っている。錬金術師の仕事は薬草が持つ魔力を引き出し、望んだ効果が出るように調えること。その時に無属性の魔力を使っているんだと思う。

 そして上手く材料から魔力を引き出し、留めることができたら成功品のポーションになり、逆に材料から引き出した魔力を無駄にしてしまうと失敗作の廃ポーションになるんだ。


 そして、今回スライムがライトスライムに進化したのは廃ポーションに残留していた光属性の魔力を大量に吸収したから。なんで突然ライトスライムになったのか不思議だったけど多分これで間違いないと思う。


 ◆


 その他にも光属性の魔力を込めた魔水も作ってみた。

 これも厩舎の魔物たちで試してみたら反応が三つに別れた。

 無属性の魔水以上の食いつきを見せる魔物。特にこだわりなく無属性も光属性もどっちも飲む魔物。そして光属性の魔水を嫌がって檻の中を逃げ回る魔物だ。

 どうやら属性相性というのは俺が思っていたより重要らしい。そのうち六属性のスライム全部揃えてみるのもいいかもしれない。ポーションに光属性の魔力が宿っていたみたいに、手軽に属性魔力を集める方法がないか考えてみよう。


 あと、マンドラゴラに光属性の魔力を与えてみたらものすごく喜んでいた。

 もう一月足らずで収穫だし、魔法薬の材料にもならない使い道のない子なんだけど、本当にどうしよう……。枯らすと罰が与えられるらしいのでしっかり面倒はみるけど、正直困る。

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