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第9話 罠
隣に朔が引っ越してきて、数日。
生活する時間が違うせいか、顔を合わせることは少なかった。
ある朝。
玄関を出ると、隣のドアが開いた。
女性「じゃあね、朔」
朔「ん」
知らない女性が出てくる。
めぐ「…………」
朔「おはよ」
めぐ「……おはよう」
朔「仕事?」
めぐ「うん」
朔「いってらっしゃい」
めぐ「…………」
朔「なに」
めぐ「別に」
これが嫌で、引っ越したはずなのに。
それからも何度か、女性が出てくるのを見た。
そのたびに。
めぐ「…………」
朔「怒ってる?」
めぐ「怒ってない」
朔「ふーん」
ある夜。
帰ってくると、黒いスーツ姿の朔が女性といた。
朔「おかえり」
めぐ「……ただいま」
自分の部屋へ向かう。
ふと振り返ると、朔と目が合った。
めぐ「…………」
朔「…………」
次の瞬間。
朔が女性にキスをした。
めぐ「…………」
バタン。
翌朝。
ピンポーン。
めぐ「うるさい!」
朔『怒ってる?』
めぐ「怒ってない!」
朔『昨日のキス?』
めぐ「は!?」
朔『見てたじゃん』
めぐ「見せたんでしょ!?」
少し間が空いた。
朔『……やっぱ見てたんだ』
めぐ「…………」
朔『ふーん』
めぐ「最低!」
インターホンを切る。
閉じたドアの向こう。
朔は少しだけ笑った。
NEXT…




