第10話 同じ場所で
夜。
ピンポーン。
めぐ「なに?」
朔『生もの』
めぐ「生もの?」
朔『悪くなるから開けて』
めぐ「魚?」
朔『早く』
めぐ「ちょっと待って」
ガチャ。
朔「お邪魔します」
めぐ「入っていいとは言ってない!」
朔「これ、冷蔵庫」
渡された箱を開ける。
めぐ「……ケーキじゃん!」
朔「生ものだろ」
めぐ「魚かと思った!」
めぐ「これ、どうしたの?」
朔「もらった」
なんとなく予想がついた。
朔「女」
めぐ「…………」
朔「なに」
めぐ「別に」
朔「食わない?」
めぐ「食べる」
朔「女からもらったけど」
めぐ「二回言わなくていい!」
二人でケーキを食べる。
朔「めぐ」
めぐ「ん?」
顔を上げると、朔が近い。
めぐ「…………」
朔「…………」
めぐ「……なに?」
朔「クリームついてるよ」
めぐ「え?」
朔の指が、めぐの口元をなぞる。
めぐ「自分で取れたのに」
朔「もう取った」
それでも、顔は近いまま。
めぐ「…………」
緊張で、唾を飲み込む。
朔「キス、されると思った?」
めぐ「……は!?」
朔「その顔」
めぐ「思ってない!」
朔「ふーん」
そのまま、指についたクリームを舐める。
朔「甘」
めぐ「…………」
朔「なに?」
めぐ「……なんでもない」
朔「…………」
今度は、朔が黙った。
めぐ「朔にぃ?」
朔「……シャワー借りる」
めぐ「は?」
朔「ちょっと行ってくる」
めぐ「自分の家、隣でしょ?」
朔「今は無理」
めぐ「なにが?」
朔「……聞くな」
めぐ「?」
朔はそのまま、シャワー室へ消えていった。
NEXT…




