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通販は便利

 ・収納上手 一スロット 値段:魔石(大)一個。セール価格! 無くなり次第終了します。

 

 『任意の物品を一つしまうことができるブレスレット型魔具。

 好きな時にしまえて、取り出せる。魔具でも呪具でも魔剣でも、収納に困ってるけど、そんなだいそれたのはいらないと言うあなた、いかがでしょうか。

 ただいまセールにて、半額キャンペーン中』


 「これなら、上質魔石(小)二十個あれば買えるとか思うよ。ドライヤー買ってもお釣りくるし、お姉さんの武器をしまうのにいいんじゃないかな?」

 ベリルが見つけた、その魔具は魅力的だった。

 今は無造作に廊下に置いてある大斧をどうするか迷っていたが、これがあれば解決する。

 毎回タオルで隠すのも家に入れるのも大変だし、ちょうどいいかもしれない。


 「ベリル、よくやった!」

 宗田はベリルの頭をぐしゃぐしゃになるくらい撫で回す。

 「ちょっとー! もう、それはよくやったって人に対する行動じゃないからね。あー、ぐしゃぐしゃ」

 「よし、さっそく注文しよう」

 「あ、宗田さん。その……いいんですか?」

 「もちろんだよ。あの斧いいんだけどさ、昨日家に入る時に、唯が大変そうだから何かないか考えてたんだよね」

 特に唯に気を使ったわけじゃなく、宗田が本音で話すと唯の瞳が細まり、口元を緩めて微笑みを返してくれる。

 魔石をテレビ下の引き出しに入れて、注文を確定した。


 ――ピーンポーン


 押した瞬間には部屋のチャイムが鳴る。

 「はーい!」

 ベリルが大きい声で反応して、走って玄関に向かって行った。

 「こんにちは〜!記憶商店ですにゃーん。いつもありがとにゃっ!」

 「わぉっ! 獣人のお姉ちゃんじゃん!」

 「今日は可愛い子がお出迎え? お家の人はいるかにゃ?」

 玄関の方から「お兄さん、お客さんだよ!」とベリルの声がした。

 こう言う時の行動力にも驚かされるが、今回で三回目の利用だが、今だに記憶商店の配達の速さにも驚かされる。

 宗田と唯が一緒に玄関に向うと、ベリルが箱を両手で必死に抱えていた。

 「お兄さん、これ〜」

 「はいはい、ありがとね」

 それを受け取り、サインする。

 すると、配達員の獣人がきょろきょろとしだした。

 

 「あれ? 今日は黒髪のショートの子はいないのかにゃ?」

 その名前が出た時、宗田の心臓が跳ねた。

 なんと返していいか分からず無言でいると、再び獣人の女性が口を開く。

 「ありゃ、なんかまずったかにゃ……それはごめんにゃっ」

 申し訳なさそうに耳がぺたりとたたまれて、声尻がすぼんでいく。


 「……でも、よくいないって分かったね」

 「にゃは〜。なんか彼女から不思議な匂いしてたにゃ。人間とも悪魔と違う独特な感じにゃ。仕事がら、悪魔族にも合うからそれに似てたにゃん」

 その言葉はアスエラが本当に昔から、葵の中にいたことを確信付けることとなった。

 葵のことが頭に鮮明に浮かび上がると、宗田の焦点がずれて、彼女のこと以外考えられなくなる。


 あの時の涙、そしてアスエラに乗っ取られた瞬間の彼女の悲鳴。

 嫌だ、そう叫んだ葵の姿が何度も脳内で繰り返し再生されている。

 それが宗田の心を強く締め付けて、無意識に自分の手を胸に押し当てていた。

 汗ばんで湿ったTシャツの向こう側で心臓の鼓動が強く、大きく感じられる。

 宗田が押し黙って、微妙な空気が流れそうになると、獣人の女性が空気を読んでか、自分から話し出してくれた。


 「いろいろ辛いこと……あるもんにゃ〜。そう言えば! 自己紹介まだだったにゃっ! 私は"フレイラ"にゃお、よろしくですにゃんにゃん!」

 記憶商店の従業員はフレイラと言う名前らしかった。

 「えっと……俺は宗田。小さい二人が唯とベリル。よろしく」

 「って、誰が小さいですって!」

 「小さいって、可愛いってことだよねっ! ねっ!?」

 宗田の言葉に二人同時に話し出すと、部屋の中がいきなり騒がしくなる。

 それを見てフレイラが満面の笑みを見せた。

 頬が小さくへこみ、唇から犬歯が覗いて、愛嬌のある笑顔となった。

 彼女のおおらかな雰囲気に、宗田の胸も幾分軽くなる。


  「じゃっ、そろそろ行くにゃ! ありがとにゃんっ!」

 フレイラがそう言うと、走って闇の奥に消えていく。


 「元気な人……獣人? ですね」

 唯の呟きが静かになった部屋の中へと溶けていく。

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