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離れない

 愛による狂気。

 人を魅力する狂気。

 そして、全てを破壊したい衝動が頭を体を心を支配していた。

 俺の中にある狂気は破壊なのだろうか?

 まあ、今は目の前の女を痛ぶって、泣き叫ぶ悲鳴を音楽に、壊れる様を楽しませてもらおうじゃないか。


 俺のものを奪った罪――苦しんで、死んで償え。


 視界が酷く黒くて、歪な形に見えた。


 「ほら、さっさと元の場所に戻れよ」

 アスエラの顔を蹴り上げた時に、顎の骨が砕ける感触は心地良い。

 

 「あぎゅっ……がひゅっ……」

 はははっ。

 ざまぁないな。さっさと落ちろ。

 

 「――きゃっ!」

 おっと、危なく唯にぶつかるところにだったか。

 お前は次だ。

 どっちも俺の獲物。

 逃がすつもりはまったくない。


 「あはははっ、いいな。泣けよ。ほら、もっとだ」

 こんなに楽しいのは久しぶりだ。

 色欲の王だか知らないが、惨めなもんだ。

 だけど、簡単に死なせるわけないだろ? もっと悲鳴を上げろ。

 もっと俺に感じさせてから、死ねや。

 ほら、くれてやるよ。

 

 「"魔剣"エクリプスα――β(ベータ)になれ。そして、貫け――ガラルド。四本でいいぞ」 


 「い……ぎぃっ! やめっ!」

 狙い通りに、手と足に刺さったわ。

 これで動けないよな。

 頑張って動こうとしてるけどさ……それなら俺が持ち上げてやるよ。

 

 はははっ。

 汚ねー。血とよだれでべったりじゃないか。

 甘ったるい臭いに、死にかけの消え入りそうな体温がたまらない。

 そういや、俺の武器を返してもらおうかな。

 「アァァァアアアッ!」

 ほら、俺の前に現れたことを公開しろ。

 この世に産まれたことを神に懺悔して、許しをこえ。

 神が許しても俺は許さねーけどよ。


 「ひっ――」

 頭もいらないから潰してやるからよ。

 「やめ――返すっ! この体を返しますからっ! だから、もうお願い……辞めて」

 ああ、それが聞きたかった。

 その惨めったらしい命乞い、それを待ってたんだよ。

 「今……返すから――宗田さ〜ん」

 

 ――死ね。

 

 「な……んで」

 「あー、やっちまった。もう少し楽しもうとしたんだけど、つい。たく、つまんないの見せるんじゃねーよ」


 ――斎藤 宗田の侵食率の上昇を確認。

 ――緊急プロトコルの発動。


 また、こいつかよ。

 いいところで邪魔をするんじゃねーよ。


 ――侵食が一定を越えました。


 次は横の女。


 ――アンチウィルスの投与開始。


 いつもそうだ。

 邪魔をするな。

 こんなに楽しくて、気分がいいのにそれを奪うのかっ!


 ――侵食率上昇を確認。


 まだだ。終わらない。

 この世界を破壊し尽くすまでは止まれねーんだよ。

 だったら、どんな力でも寄越せ。


 ――代替人格、七つの美徳の緊急投与。

 ――…………。

 ――拒絶。

 ――制御不能。


 それでいい。

 消えろ――


 「――宗田さん……」

 話かけて来るんじゃねーよ。


 「くぅっ!」

 なっ! 剣を素手で弾いた?

 お前……なんだ?


 「戻ってください! どんな宗田さんも大好きですけど、これは受け止め切れません!」

 なに、馬鹿言ってるんだ。

 死ね。


 「あぁっ! 負けない……!」

 うぜーな。

 いつも付き纏いやがって。

 早く、目の前から消えろ。


 「でも、宗田さんになら……殺されてもいいかも」

 なんだ、こいつは抱きつくな。

 

 ――ぐぅっ!


 離せ。

 「離れません! 離れるくらいなら、私を殺してください! そしたら、離れます!」


 この女、馬鹿か?

 それならお望み通にしてやるよ。

 本当はあいつみたいにいたぶってから……

 死体が――ない。


 「血溜まりだけ残して、どこに……消えやがった?

 クソッ、こんなことしてる場合じゃ、いい加減に離れろっ!」


 「覚悟できてますから! これで、宗田さんと一つになれますね。ずっと忘れられない存在に……ふふふっ、楽しみ」

 この女も存分に壊れていた。

 どれだけ酷く扱っても、情けなくても、いつも傍に付きまとう。

 今も、俺の気分次第でいつでも殺せるのに、笑ってやがる。

 それも、心底嬉しそうに。


 「あははっ! 二人まとめて死ねっ!」

 いつの間に。

 くそ、離せ。

 このままじゃ、二人ともやられ――


 「宗田さんと、二人の時間を――邪魔するな」

 「――えっ」


 俺を好いてる女はこの中で一番狂ってるのかもしれない。

 そう思うと、黒い世界が赤色へと移り変わっていく。

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