第40話 模擬戦
射撃が優秀なグループがハルに挨拶に来た。
「特尉、先日は失礼しました!今日の対戦楽しみにしてます」
「あなた達は優秀ね、だから楽な戦いになりそう」
「どういう意味ですか?」
「私は、準備があるから失礼するわ」
「おい、なんて言ってた」
「楽な戦いになるって」
「何だと舐められたものだな、圧倒的な力を見せてやる」
「ハル、あんたの言葉で火がついたわよ、向かって来る気満々ね!彼奴等は簡単に終われるわね」
「早く終わらせて休みましょ」
模擬戦の試合開始のサイレンが鳴った。
射撃優秀なグループは総勢20名細かい作戦はなかった。
全員一人でも多く模擬弾を当てて敵を殲滅する事だった。
ハルが戦いに集中し、トランス状態に入った。
敵の人数は20人、ここから数が増えるわけではない。
実践形式の戦いといってもこれは、甘すぎる。
ハルたち引きこもり部隊にしてみれば緊張感のない素人相手の戦いだった。
何処を探しても引きこもりのメンバーがいなかった。
だが、気づいたときにはペイント弾が当てられていた。
「いつの間に?」
「赤の15番死亡です!退場しなさい」
審判の判断で退場の放送が流れる。
戦場だったら死んでた!
ほとんどの兵士がモニターで部隊引きこもりの戦いを見て釘付けになっていた。
「引きこもりのメンバーが何処に隠れたかわからないわね」
「ああ、それに不意をついて手榴弾を使い敵が混乱している所を撃っている」
「撃っている時も姿は見せないのね」
引きこもりは存在感が無く目の前にいても気付かない存在。
レストランや喫茶店に行ってもウエイトレスが気づかず1人だけ水が貰えなかった事が何度もある。
その存在感の無い引きこもりが本気で身を隠しているのだからなかなか見つける事はできなかった。
時間がたつにつれて襲撃の優秀チームの数が減っていった。
引きこもりのメンバーは全員残っていたが射撃の優秀グループは残り6名になった。
「おい、どうなってるんだ?彼奴等は射撃は下手だっただろ」
と話かけた兵士の眉間にペイント弾が命中した。
「赤の2番死亡です!退場しなさい」
「眉間に命中だと!?」
何処から撃った!?そんな凄腕あの中にいたのか?
眉間に撃たれた・・・という事はこっちの方向だろ!
「正解よ!」
振り向いた瞬間ペイント弾で眉間を撃たれた。
ハル・・・
ハルがその隊長の眉間に的中させて消えた。
「赤の1番死亡です!退場しなさい」
何故当たる・・・射撃練習のときは的に当たらなかったのに・・・
「おい、ハルは何処に行った?」
「わからない、引きこもりのメンバーは姿が見えない・・・予測がつかない」
「だけど俺たちを殺しに来る!」
ミネルバも関心して見ていた。
「さすがね、銀のカラスを追い込んだだけの事はあるわ」
最後に残った4人も撃たれ終了した。
模擬戦は3日間行われたが引きこもりの圧勝で終わった。
遼が二人の友人を連れてハルに挨拶に来た。
三人で深く頭を下げてお詫びにきた。
「特尉殿これからは、ご指導をお願いします」
「指導なんて私にはできないわよ」
「教えてください、どうすれば部隊引きこもりのように強くなれるんですか?」
「あなたは、強くなったら向かって行くんでしょ」
「それは相手を倒さなければ終わりませんから」
「だから死ぬのよ、簡単に殺されるただの的になるだけよ」
「ですか逃げるなんて・・・」
「向かって行って死ぬよりも逃げても生きていれば敵を殺すチャンスがやって来るわ、戦場では最後に生きていた者が勝ちよ」
ハルが去って行った。
「模擬戦はいい勉強になったな、あのまま戦場に行ってたら俺達は直ぐに死んでいた」
「射撃の事を聞くのを忘れた!練習中は下手なフリをするのか?」
「それはないだろ、確かに相手は油断するだろうが、そんな事をしたら教官に怒られるだろ」
「模擬戦のときの眉間への的中は何だったんだ?」




