面会録Ⅰ
「あら、また面会の時間と聞いて来たのだけれど、これまた初めましてのお客さんね」
「安心して。この通り拘束されてるし、もうあんなことはできないわ」
「殺人の動機って、もうせっかちなのね。あまりせっかちだと女性に嫌われてしまうわよ。そうねー。世間話でもしましょうか」
「くだらないことなんてないわ。この世の中にくだらないことなんてないし。ましてや、私はこれ以上立場的に降ることはないもの」
「それに、外のことについて、私は殆んどの情報を遮られてしまっているから退屈なのよ。貴女方に卑屈になってしまうほどに」
「そうは見えないって?そんなものよ人間なんて。男性は好きな女性のために見栄を張るし、女性は好きな男性のために着飾る。友達には基本的に元気な姿を見せたいし、喧嘩だって"私は今怒っています"っていう態度をとってみせるもの」
「あぁ。因みに貴方は今私を威圧してるわね。お前よりも強く、怖いって」
「今のお前よりも強いのは当たり前って?笑わせないでちょうだいよ。全員は無理でも、この部屋にいる貴方と後ろの書記官さんくらいは殺せるわ」
「もう、そんなにカッカしないでよ。善意で危険って教えてあげてるだけだし、考えてすらいないわ。安全な環境を作ってるんでしょ?自信を持ちなさいよ」
「あぁ、今みたいなのが無駄話って言うの?私からしたら、無駄でも何でもない。何なら、貴方にとって有益な談義だと思ったのだけど」
「どこがって、気づけてないのね。それとも気づいているけど言わないのか。口にだして言ってご覧なさいな。そうしたら、楽になれるし、方法も分かるはずだけど」
「ごめんなさいね。そろそろ本題に入りましょうか。といっても最初から本気の話だったのだけど」
「確か前の殺人に関してよね?あんなの顔も見たくないほど嫌いな人間だったからに決まってるでしょ?」
「だから私は顔を裂いてやったのよ。金輪際見なくてもいいように、見たところでこいつはどんな顔だったかなって考えれるようにするために。それが犯行の動機だし、どうしようもない事実ってやつね」
「思ったほど複雑な犯行でもないのよ?」




