表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/1800

第6章ー3

 数話程、説明的な話が続きます。

 そうしたために、アユタヤにいて、本来なら情報が入って来ない上里松一大尉の下にまで、今年も官制改革が行われたという情報が耳に入る程、太政官制は変遷を重ねたが、日本国内が平和であることから、今の方がまだマシという空気が日本国内では極めて強く、政治の混乱が内戦という事態を招かなかった。

 そして、日本国内では。


 いわゆる天文通宝が鋳造されるようになり、新しい銅貨が、日本国内の市場に登場し、それを目にすることが増えるようになるにつれ、日本の国民の間で、新たに天皇親政の時代が始まったのだ、という意識が徐々にだが広まり出した。

 更に、皇軍の古参兵が除隊して、各地に教師という名目で派遣され、そこで子ども達に、いわゆる読み書き計算を教えると共に、様々な技術についても教えるようになるにつれ、目に見える形で技術が広まり、生産量が増えだした。


 そして、新銅貨が普及するようになり、更に金貨、銀貨の鋳造が行われるようになると、必然的に通貨も安定するようになり、物資の生産量の増大もあって、流通も潤滑に行われるようになる。

 そうなると、庶民の生活には、徐々にゆとりが生まれ、尚更、少々の政治の混乱くらいはいいか、という空気が世間には広まることになる。


 何しろ、それこそ応仁の乱、いや明応の政変以来、日本国内では中々、戦禍が絶えず、それこそ数十年単位で、庶民は戦禍が起こることについて、恐々としながら暮らしていたのだ。

 それが、王政復古の大号令に伴い、日本国内から戦禍が消えつつあるのだ。

 こうしたことから、政治の混乱があっても、建武の新政等とは異なり、このいわゆる天文維新は、戦禍が消えつつある中で、今更、武装蜂起をするとは何事という空気が、世間では漂うことになり、日本国内での内戦勃発という事態は招来せずにすんだのだ。


(更に言えば、日本国内で武装解除が積極的に行われたのも大きい。

 皇軍の懸絶した武力に対して、自分達の武力等は蟷螂の斧に過ぎない、と観念したいわゆる国人衆等が多くいたこともあり、それこそ半ば自発的に自衛、警察程度にまで武装解除を積極的に行う例が多発した。

 こうなると、そもそも不満を持った面々が、武装蜂起を企むこと自体が困難になってくる。

 そのためもあって、日本国内の武装蜂起は無かったとは言わないが、散発的な程度に留まった)


 そして、皇軍が日本本土上陸を果たしてから5年、それなりに日本の政治情勢は安定し、(北海道等を除く)日本国内の統一は果たされ、日本から海外に本格的に目を向ける余裕が、日本に出つつあった。

 とはいえ。


 日本から海外に進出するとなると、様々な技術やそれを扱う人員が必要になってくる。

 その一例だが、それこそ、この頃の日本では、天測航法は未だ知られていない、といっても過言では無い有様だったのだ。

 そのために、天測航法を、多くの船乗りに教えることから始める事態になった。。


「こんな精密な時計と機械が必要なのか」

「その代り、これを使いこなせるようになれば、自分のいる場所が、大海原の中で分かるのだ。何としてもこの使用法を習得しろ」

 こんな感じで、皇軍の海軍士官の面々は、日本の海賊衆、真鍋貞行や村上通康、九鬼定隆等々に、六分儀とクロノメーターの遣い方を叩きこむことになった。

(更に言えば、クロノメーターや六分儀の製作、量産も、一騒動どころでは無い苦労をする羽目になった)

 他にも。


 海外に乗り出すとなると、最低でも汽船を量産できるようにしたいが、それには時間がかかる以上、取りあえずは帆船で我慢せざるを得ない。

 とはいえ、この当時の日本の帆船は色々と問題があり。

 上里大尉が、ジャンク船を日本に送るような事態が起きた。

 ご感想等をお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 人口に直結する農業についてはどうなったのか気になりました。 農業に関する指導員が従軍していたわけもないでしょうし、戦国時代だと稲の品種改良等行えていないため、冷害で全滅とかあり得そうで…
[一言] 日本人商人の活躍にとって近代的な商業方法は強力な武器になります。 例え、蒸気機械や電気がなくても、メートル法による合理的で統一した度量衡、太陽暦と時分秒からなる時間管理、標準語、言文一致、…
[一言] この小説とは関係のない話ですが、ネット小説の中に戦前の日本が国ごと異世界に移転するというのがあります。 この場合「貿易が途絶えて困る」ということはほとんどありません。 まず食料ですが戦前の…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ