最終話 御伽噺
「そんな、家族がいたら怖いね。でも、ちょっと憧れちゃうかも」
そう零す、幼子は少しばかり輝いた瞳で女性を見上げた。「そう?」うん、と返すその子に女性は、頭を撫でた。
「お母様」背後から呼ぶ声が聞こえ、女性は振り返る。「時間、みたいですよ」ふ、と微笑んで愛らしい少女が呟く。
「うん、分かった」「お父様待ってます」
女性はすくっと、立ち上がると太ももに装備していたホルスターから銃を抜き取りよし、とこぼす。それを見ていた幼子は驚き顔で愛らしい少女を見上げ、「あねさま、お母さまは…」
少女は、意味深に笑って頭をなでた。「そろそろ、修行しなきゃねぇ」
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あの、御伽噺は御伽噺じゃなくって私の家族のことだったの?コンコン、ノック音が聞こえ「はい?」と返すと、麗しい少年、あにさまが表れた。
「ほら、行くよ?織媛」
「はい、あにさま」
ついて行った先には、すべての家族が座っていた。若々しい曾おじいさまと、おばさま。両親と言ってもいいくらいに見えるおじいさまとおばあさま。おじさまにおばさま。普段は、桃兄様にかぐねえ様にロイ兄様だけど。
「おいで、」と手をふる、お兄さまにも見えるお父さまと隣の美女、お母さま。麗しい少年と愛らしい少女は、我が兄姉だ。そこに、座ると曾おじいさまは口を開いた。
「我が家の家業は、暗殺業じゃ」
それには、ストンと理解できた。前々から、みんなは普通じゃないなとは思っていた齢3才にして。それに、この前のお母さまの持っていたもの、それは普通じゃありえない。
「…………はい、分かりました。あの夢は、そういうことを予兆だったんですね」
「ほう、そうかそうか。織媛の名は『卑弥呼』じゃ」
曾おじいさまは、すべてを悟り名を授けた。
これから、新たに名を刻む。
織媛の御伽噺は、始まったばかり。
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御伽噺というか、メルヘンチックというか、暗殺とかなんかカッコいいなって思って盛り込んだ作品です。
途中から、名前が思いつかなくなってきたのでこれにて終わりです。読んでくれた皆様、ありがとうごさいました!




