説明会
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前書き
怖い場所には、
「危険」
とは書いてありません。
「安心」
「応援」
「夢」
そんな言葉が並んでいます。
だから、
人は自分から入ってしまうのです。
第46話です。
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第46話 説明会
土曜日。
午後一時。
駅前。
人で賑わうロータリー。
待ち合わせ場所には、
敦。
翔太。
陸。
三人が集まっていた。
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陸は新品みたいなシャツを着ている。
髪まで整えてきた。
木戸なら絶対言う。
「デートか」
と。
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翔太は少し緊張していた。
何度もスマホを見る。
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敦は腕時計を見た。
午後一時十五分。
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そこへ。
前原が歩いてきた。
煙草。
缶コーヒー。
いつもの格好。
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「緊張してるか。」
前原が聞く。
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陸が笑う。
「めっちゃ。」
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翔太は正直だった。
「怖いです。」
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敦は少し考えた。
「……半分。」
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前原は頷いた。
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「それでいい。」
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「怖くなくなったら終わりだ。」
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その言葉だけ残し、
前原は踵を返す。
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「ヨシさん。」
敦が呼ぶ。
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前原は振り向かない。
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「なんだ。」
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「もし何かあったら。」
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前原は鼻で笑った。
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「電話しろ。」
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「三回鳴らせ。」
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「出なかったら。」
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少しだけ笑う。
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「四回目で出る。」
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陸が吹き出した。
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「なんすかそれ。」
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「寝てる。」
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全員笑った。
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少しだけ緊張がほどけた。
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午後一時三十分。
ガラス張りのビル。
受付。
白い床。
アロマの匂い。
若いスタッフ。
笑顔。
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「こんにちは!」
女性スタッフが迎える。
昨日見た人だった。
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「説明会ですね?」
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陸が笑顔で答える。
「はい。」
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「ありがとうございます!」
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「こちらへどうぞ!」
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敦は思った。
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普通だ。
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あまりにも普通。
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会社というより。
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美容室。
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カフェ。
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そんな雰囲気だった。
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受付では、
コーヒーまで出てくる。
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「どうぞ。」
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「ありがとうございます。」
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翔太の声が少し震えていた。
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その様子を見た女性スタッフが、
優しく笑う。
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「緊張しますよね。」
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「でも大丈夫ですよ。」
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「皆さん最初はそうですから。」
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その一言。
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翔太は少し安心した顔をした。
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敦は横で見ていた。
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これだ。
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責めない。
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否定しない。
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受け入れる。
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だから、
弱っている人ほど安心する。
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会場。
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二十人ほど。
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大学生くらい。
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フリーター。
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スーツ姿。
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外国人もいる。
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みんな少し不安そう。
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でも。
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希望も持っている。
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そこが辛かった。
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壇上へ、
スーツ姿の男が現れる。
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三十八歳。
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笑顔。
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穏やかな話し方。
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白石の写真に写っていた男。
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天野 恒一。
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「皆さん。」
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「本日はありがとうございます。」
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拍手。
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「まず。」
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「安心してください。」
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「ここには。」
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「皆さんを否定する人はいません。」
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翔太が少し俯く。
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「仕事が続かなかった人。」
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「学校へ行けなかった人。」
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「家族とうまくいかなかった人。」
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「全部大丈夫です。」
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会場の空気が少し緩む。
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天野は笑う。
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「過去は関係ありません。」
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「今日から人生をやり直しましょう。」
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敦は手を握っていた。
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言葉だけ聞けば、
間違っていない。
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だから怖い。
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その頃。
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駅前の喫茶店。
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前原。
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川本。
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黒岩。
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桜井。
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四人は窓際に座っていた。
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店からビルが見える。
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黒岩が腕時計を見る。
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「始まったな。」
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前原は窓の外を見る。
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「……。」
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桜井がコーヒーを飲む。
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「ヨシ。」
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「なんだ。」
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「飛び込むなよ。」
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前原は苦笑した。
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「ガキじゃねぇ。」
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川本が小さく笑う。
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「昔なら飛び込んでましたよ。」
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「昔はな。」
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短い返事。
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でも。
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敦なら気付いただろう。
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前原の右手。
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無意識に拳を握っていた。
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説明会は続く。
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天野が言う。
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「皆さん。」
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「夢はありますか?」
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一人が頷く。
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「あります。」
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「素晴らしい。」
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また拍手。
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天野は続ける。
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「夢がない人も大丈夫。」
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「ここで見つかります。」
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陸が小さく呟く。
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「……うまい。」
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敦も頷いた。
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上手い。
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希望を否定しない。
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不安も否定しない。
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全部包み込む。
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だから、
信用してしまう。
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その時だった。
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天野の視線が、
敦たちへ向く。
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ほんの一瞬。
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目が合った。
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笑顔。
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でも。
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その奥にある鋭さを、
敦だけは見逃さなかった。
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(……気付かれた?)
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天野はすぐに笑顔へ戻る。
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「それでは。」
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「休憩を挟みまして。」
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「個別相談へ入ります。」
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会場がざわつく。
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敦はゆっくり息を吐いた。
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本番は、
ここからだった。
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後書き
第46話でした。
今回はあえて「何も起こらない怖さ」を描きました。
この会社は、暴力で人を支配するのではありません。
安心感で人を囲い込む。
だからこそ、多くの人が自ら扉を開けてしまいます。
そしてラストで、天野が敦たちを一瞬見ました。
まだ敵意ではありません。
ですが、「何か違う」と感じ始めています。
次回は個別相談。
そこで翔太が、かつて自分を勧誘した人物と再会することになります。そこから、静かだった空気が少しずつ張り詰めていきます。




